海の家で笑顔待つ...8度目の夏 相馬・原釜尾浜それぞれの思い

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「子どもに海で思い出をつくってほしい」と海の家の設営を進める獺庭さん=相馬市・原釜尾浜海水浴場

 東日本大震災から8度目の夏が、本格的に県内を覆い始めた。今年、相馬市では原釜尾浜海水浴場が8年ぶりに再開。14日にはいわき市の3海水浴場が昨年に続き海開きした。砂浜に立ち並ぶ海の家。店主らはそれぞれの思いを抱え、海水浴客を迎える。

 「幼いころから日焼けで真っ黒になるまで海で遊んでいた。子どもたちにも同じように遊んでほしい」

 8年ぶりの海開きを21日に控える相馬市の原釜尾浜海水浴場。震災前よりも1軒少ない6軒の海の家が今年、開設される予定だ。連日の焼け付くような暑さの中、相馬市でギフトショップを営む獺庭(おそにわ)大輔さん(35)は再開に向け、海の家の設営を進めている。8年前を一つ一つ思い出しながらの作業。肌は真っ黒に焼け、額には汗が光る。

 7歳から父を手伝って海の家に関わってきた。震災後は本業の忙しさもあって海の家はやめようかとも考えた。しかし、考えを変えるきっかけの一つとなったのが、2年前に生まれた長女野乃子ちゃんの存在だ。「海で育ったから今の自分がある。海で楽しく過ごした思い出が、子どもが育ち、外に出た時ふるさとを感じるきっかけになるのかな」

 幼いころから行動を共にしてきた仲間からも支援の声が上がり、昨年、海水浴場再開の報が届くころには気持ちが固まった。

 原発事故の風評の影響もあり、客足が以前のように戻るのかは分からない。不安がある中でも、相双の生産者や文化を紹介する「そうま食べる通信」の編集メンバーとして活動してきた経験が、気持ちを前に向かわせる。活動を通じ農業者や漁業者、そして全国の応援してくれる人との関わりを持った。「たとえ来る人が震災前の10分の1になったとしても応援してくれる人のためにやる意味はある」。再開後は海の家前にブースを設け、地元の農業、漁業者が生産物を発信する後押しをしたいと思っている。

 店は21日を前に準備ができ次第、段階的にオープンする予定。「やはり子どもに海を楽しんでもらうことが一番うれしい。何よりその光景を見たいね」