晴れ舞台...『心待ち』 相馬野馬追、浪江8年ぶり「騎馬行列」

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
南相馬市での出陣式に臨んだ豊田さん。野馬追本番へ意欲を燃やす=15日

 勇壮な戦国絵巻が繰り広げられる相双地方の国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」が28日、開幕する。原発事故の避難指示が昨春に一部解除された浪江町では8年ぶりの騎馬武者行列となる。関係者は復興へと歩む町民に勇気を届けようと、古里での晴れ舞台を心待ちにする。

 「獣医師になることの原点が野馬追だった」。避難先の二本松市で動物病院を開業する獣医師の豊田正さん(67)は思いを明かした。父の影響で小学生や高校生の時に野馬追に出陣。大学への進学で浪江町を離れ、野馬追とも距離を置く時期もあったが、1989(平成元)年に故郷で動物病院を開業、獣医師としてや、運営などで再び野馬追に関わるようになった。

 2011年の原発事故による避難指示で故郷を追われ、避難先で「野馬追がなくなってしまう」と危惧するようになった。震災から2年が経過した13年、豊田さんは再び出陣することを決めた。「野馬追が生きがいだ。出陣すること自体が楽しみになり、目標になった」と語る。

 避難指示解除を受けて8年ぶりに町で騎馬武者行列などが復活する。豊田さんも浪江町の自宅を出発、中央公園から騎馬行列に参加する。「これまでは本来の形でできないという悔しさがあった。今年は騎馬会の仲間と一緒に地元から馬に乗って出陣できる」と笑顔を見せる。

 本番に備え毎週末、南相馬市の乗馬クラブで乗馬の練習を繰り返す。「騎馬武者も頑張っている。その思いを帰還した町民やいまだ町外に避難している町民に届けたい」と誓った。