JFA会長・田嶋幸三氏に聞く Jヴィレッジからサッカー振興

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たしま・こうぞう 熊本県出身。筑波大大学院修了。日本サッカー協会技術委員長、アジアサッカー連盟理事・技術委員長、国際サッカー連盟(FIFA)理事などを歴任し、2016(平成28)年から日本サッカー協会長。U―16、U―17、U―19の日本代表監督を務めた。60歳。

 日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長(60)は23日の福島民友新聞社のインタビューで、一部施設が先行して28日に再開するJヴィレッジ(楢葉町、広野町)について「サッカーの聖地として新たな魅力をつくり上げ、最先端を学べるベースにしたい」と語り、日本サッカーの振興に向けた中核として再構築に力を注ぐ考えを強調した。(聞き手・編集局長 小野広司)

 ―Jヴィレッジは東京電力福島第1原発事故で対応拠点となったが、芝生の緑が戻り、復活を遂げようとしている。震災から7年余りを振り返って。
 「当時、まずはJFAアカデミーの中高生を保護者の元に戻し、どう継続するかが最初の課題だった。静岡県や御殿場市などの協力で3週間ほどで受け入れ先が決まったのは奇跡であり、感謝しかない。ただ、必ず福島に帰ることを前提に進めてきた。アカデミーの男子は2021年度、女子は24年度に戻すと決定したので速やかに対応していく」

 ―アカデミーの本県帰還に当たっての構想は。
 「女子はなでしこ選手を輩出したが、男子はまだ代表選手がいない。サッカーでも、人間としてもエリートを育成するという元々の理念に立ち返り、本当のエリート教育は何かをもう一度考える良いチャンスにしたい。指導者の考え方、情熱の見せ方を見直し、選考基準に踏み込む必要もある」

 ―新生Jヴィレッジの強みをどうアピールするか。
 「周辺の放射線量や子どもたちの帰還が進んでいる現状など、正しい情報を認識してもらうことが大切だ。20年東京五輪の男女代表の活動拠点とすることで新生Jヴィレッジを世界中にアピールしていく。Jヴィレッジの成功にはアカデミー生に加え、この地に集まる人たちの健康、けがをサポートするクリニックがなくてはならない。20年をめどに立ち上げなければならないと思う。全天候型屋内練習場を生かし、冬場の利用の誘致や子ども向けスクールなど、以前とは違う収益事業を考え、持続可能な取り組みを進めていく。天然芝は大きな売りであり、シニア層からジュニアの大会もしっかりと戻していきたい」

 ―本県のサッカー少年、少女にメッセージを。
 「選手の実力で地域間の格差はなくなったと思う。良い指導者の下で一生懸命努力すれば、実力はつけられる。夢を忘れずにトレーニングに精いっぱい励んでほしい。私たちはJヴィレッジを再びサッカーの聖地にする決意だ。アカデミーが福島に戻った際には多くの子どもたちに入校してほしい」