【Jヴィレッジ再始動】地域振興の核に...誘客策知恵絞る高校生

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 「いかに長く滞在してもらえるかが重要だ」。再始動するJヴィレッジを核とした周辺地域の振興に向け、広野町振興公社社長の中津弘文(61)は利用者の関心を引き寄せるための仕組みづくりが必要だと訴える。

 震災前、Jヴィレッジには年間約50万人の利用者が訪れていた。ただ、中津は「周辺地域の持続的な活性化にはつながらなかった」と振り返る。

 2006(平成18)年5月、サッカーのワールドカップドイツ大会を間近に控えた日本代表がJヴィレッジで合宿を行った。全国から6万人を超えるファンが来場、地元の旅館は客で埋まり、商店では飛ぶように商品が売れた。それも代表が滞在した8日間を過ぎると、一気に下火になった。

 「Jヴィレッジにおんぶに抱っこだった。これからは周辺地域自らが魅力ある誘客策を打ち出さなければ」。中津は、町と連携してJヴィレッジ南隣にある二ツ沼総合公園で「意外性」を武器にバナナの栽培を計画している。立地町の広野、楢葉両町もJヴィレッジや観光名所をコースに組み入れたマラソン大会を開催する方向で調整を進める。

 被災地の未来を担う高校生もJヴィレッジを復興に役立てたいと思っている。ふたば未来学園高(広野町)の草野堅(18)、石上怜央(17)、近藤翔太(17)=いずれも3年=の3人は昨年から、復興に向けた課題の解決策を探る授業で、Jヴィレッジを柱にした地域活性化について考えてきた。

 テーマの一つが「風評対策」。関係者に話を聞く中で、Jヴィレッジ周辺の放射線量を心配する県外の保護者らがいまだに多いことを知った。いわき市出身の3人も同校に進学が決まった時は「線量は大丈夫なのか」と不安に思ったという。ただ、町民が日常を取り戻している姿に「何も心配はない」と安堵(あんど)した。

 石上は自身の経験を踏まえ「一度でも自分の目で現状を見てもらうことが払拭(ふっしょく)につながる」と力を込める。そのために、3人はサッカー関係者以外も足を運びたくなるような魅力あるイベントの開催が有効だと訴え、考えを巡らせている。(文中敬称略)