午後2時46分キックオフ...新たな歴史刻む Jヴィレッジ再始動

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時計が止まった掲示板の前で黙とうするJヴィレッジスポーツクラブと県U―15選抜の選手たち=28日午後2時45分

 午後2時46分。キックオフを告げるホイッスルが鳴り響くと、東日本大震災発生時から止まったままだったスタジアムの時計の針が動きだし、新たな時を刻み始めた。式典後に行われたJヴィレッジスポーツクラブ(JSC)と県U―15選抜の記念試合。かつて、サッカーに打ち込む少年少女の憧れの地だったピッチに、元気にプレーする子どもたちの姿が戻ってきた。

 「これから始まるJヴィレッジでの先制点。最高だ」

 試合開始早々、新生Jヴィレッジでの初ゴールを飾ったJSCの水野巧選手(15)=泉中3年=は喜びを爆発させた。

 JSCは震災後、Jヴィレッジからいわき市に拠点を移して活動しており、ほとんどの選手にとってJヴィレッジでのプレーは初めて。震災時に小学1年生だった水野選手も「まだサッカーを始めていなかったし、Jヴィレッジのことも全然知らなかった」。しかし、「Jヴィレッジ」の看板を背負うチームに入り、サッカーの聖地復活を切望する人たちの思いを知るうちに「またここにたくさん人が集まるように、もっと強くなってチームの名を売りたい」と思うようになった。そんな気持ちで臨んだ試合での初得点、本当にうれしそうだ。

 JSC発足時から指導者を務めた明石重周(しげなり)さん(40)は「震災前のJヴィレッジを知らなくても、またここに強い思いを持ってくれる子どもたちが増えて、新生Jヴィレッジの歴史を積み重ねていく。大切なリスタートの日になった」と感慨深そうに語った。

 試合は前半中盤に県U―15選抜が1点を返し、1―1の引き分け。約5000人を収容するスタジアムの観客席には、雨天にもかかわらず多くの住民や式典出席者らが詰め掛け、両チーム選手の健闘をたたえ大きな拍手を送っていた。

 試合を見守ったJヴィレッジ副社長でJSC代表の上田栄治さん(64)は「福島の少年少女たちに、日本代表に入るという夢を持ってほしい」と、復活を遂げた新生Jヴィレッジの将来に思いを託した。