「豊嶋歯科医院」浪江で一般診療再開 「町民の口の健康守る」

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震災前と同じ場所で診療を再開した豊嶋歯科医院=浪江町

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示により休業していた浪江町権現堂の「豊嶋歯科医院」が1日、一般診療を再開した。町によると、町内の避難指示解除区域内で民間の医療機関が再開するのは初めて。一時は帰還を諦めていた院長の豊嶋宏さん(65)は7年4カ月ぶりの地元での診療に「町民の口の健康を守りたい」と意気込む。

 同町出身の豊嶋さんは東北歯科大(現奥羽大歯学部)を卒業後、実家の歯科医院で診療を続け、町民の健康促進に努めてきた。東日本大震災と原発事故で福島市の親戚方に避難した後、只見町の町営診療所に勤務。11年秋からは大学時代の同級生が経営する北海道新ひだか町の歯科医院で診療を続けていた。

 そうした中、浪江町の昨年3月末の避難指示解除を前に、町などから診療再開を打診された。「一時は帰還を諦めたが、自分の生まれた町。そこを捨てたくはなかった」。豊嶋さんは故郷での診療再開を決意し、今年4月で北海道での診療を終えた。その後、建物の外装と内装のリフォーム、診療台や機材の入れ替えなどを済ませ、ようやく再開にこぎつけた。

 町内には6月末現在で777人が住民登録しており、帰還率は4%程度。住民の多くは高齢者が占めるとみられ、豊嶋さんは「おいしく食べることで、健康で文化的に生活できる。利用者に信頼してもらえるよう頑張りたい」と帰還した町民の健康維持に意欲を燃やす。

 住所は浪江町権現堂字南深町8の2。診療時間は月曜から木曜の午前9時~正午、午後2~6時。完全予約制。