【福島の犬猫・殺処分ゼロへ】後絶たぬ持ち込み...飼い主モラル欠如

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県動物愛護センターで開かれた譲渡会。手前の子猫はこの日、新しい飼い主が決まった=7月28日、三春町

 犬や猫を中心としたペットは大切な家族の一員。少子高齢化の進展などに伴い、ペットは存在感を増している一方、飼い主のモラルの欠如などに起因する行政への安易な引き取り依頼は後を絶たない。環境省の調査によると、行政に引き取られて殺処分された犬や猫の数で、本県は全国4番目に多い。こうした殺処分を減らし、人と動物が共生する社会をつくるため求められている取り組みは何か。県内の現状と課題を探る。

 「前に飼っていた子に似てるね」。7月28日、三春町の県動物愛護センターで保護されている犬、猫の譲渡会が開かれた。約50人の親子らが愛らしいしぐさに食い入るように見入り、犬猫数匹に新しい飼い主が見つかった。譲渡会は殺処分を減らす取り組みの一つだ。

 去勢手術意識低く

 国は動物愛護の観点から将来的に犬猫の殺処分をゼロにする目標を掲げているが、本県の課題は山積する。「今すぐに殺処分をゼロにするとは言えないのが正直な状況だ」。県で動物愛護を担当している食品生活衛生課の渡部誠二課長(54)は苦しい胸の内を吐露する。

 同課によると、犬の殺処分数は屋外での放し飼いの減少に伴い減っている一方、猫は横ばい状態。県は猫の室内飼育を推奨しているが、県内では放し飼いの習慣が定着しており、屋外で生まれる子猫が持ち込まれるケースが他県に比べて多いという。県動物愛護センターの桑折通房次長(51)は「本県では、猫への不妊去勢手術を徹底することへの意識が低い」と、繁殖の繰り返しによる引き取り依頼の多さを問題視する。

 猫は全国2番目

 環境省の調査では、2016(平成28)年度の本県の犬、猫の殺処分数は、保健所がある中核市の郡山、いわき両市を含め2612匹で、全国4番目に多い。猫に限ると2383匹で全国2番目の多さとなる。

 ただ、自治体が安易に「殺処分ゼロ」を掲げることの危険性を指摘する声もある。県獣医師会副会長で千葉小動物クリニック(福島市)院長の河又淳獣医師(59)は「2012年の動物愛護法改正で、保健所は引っ越しなど安易な理由で持ち込まれた動物の引き取りを拒否できるようになった」と指摘。保健所が引き取りを拒否したために遺棄されるケースもあるという。「行政の殺処分だけがゼロになっても、幸せな動物が増えなければ意味がない」と河又獣医師は警鐘を鳴らす。