『箸』工場...地域の懸け『橋』 磐城高箸、いわきの廃校再生へ

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地元産の磐城杉で作られた割り箸(手前)とヒノキの鉛筆=旧田人二小南大平分校

 地元のスギやヒノキの間伐材から高級割り箸や鉛筆などを製造するいわき市川部町の磐城高箸が、廃校となった同市田人町の旧田人二小南大平分校を工場に再生し、来年1月にも分校で操業を開始する。目指すのは分校の雰囲気を楽しみながら、環境に配慮した製品の製造工程を見学できる産業観光施設。中山間地域に人を呼び込む懸け橋となり、地域の活性化を図りたい考えだ。

 「やりたいことがたくさん」。市から分校を譲り受けた同社社長の高橋正行さん(44)は、1885(明治18)年に開校し、2014(平成26)年に閉校となった木造校舎を見つめ、胸を高鳴らせる。

 ■間伐材利活用

 高橋さんは、間伐材の利活用で森林環境の再生を図ろうと10年に同社を設立。被災地復興への取り組みとして、本県と岩手、宮城両県産のスギで作った高級割り箸「三県復興希望のかけ箸」は、南相馬市で6月に開催された全国植樹祭の記念品に採用された。

 分校利活用の構想が動きだしたのは昨年7月。廃校となった施設を利活用する市の公募事業の中に南大平分校があった。高橋さんは迷わず応募。四時川のほとりにある現在の工場に、毎週見学者が訪れるその知名度を生かし、産業観光施設のアイデアを提案した。常磐道いわき勿来インターチェンジ(IC)から分校までは車で約10分。「こんなにアクセスが良く、味のある分校はない」と語る高橋さんの計画には、遊び心があふれている。

 ■廊下から見学

 作業場となる教室での製造工程を来訪者が廊下の窓から見学したり、同社の商品「眠り杉枕」が置かれた保健室のベッドに実際に寝転び、スギの香りが持つ安眠効果を体験できる。新たな製造機械の導入で鉛筆の製造工程を再編し、国内では極めて珍しいという一貫製造にも切り替える。

 分校は廃校後も住民が集う大切な場所となっていた。体育室・講堂は交流サロンや避難場所として利活用できるよう、同社と地域住民でつくる「南大平地区未来創造会議」が運用し、地域活性化の拠点とする。

 地域の財産である分校を託され、「非常に重い責任とともにやりがいを感じている」という高橋さんの新たな挑戦が始まる。