「渇水」ダム放流停止...コメ作り『正念場』 品質低下など不安

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山内さんの水田では、水不足のため一部が枯れ実があまり入っていない稲(左)がある。右は順調に育っている稲=喜多方市慶徳町豊岡地区

 記録的な少雨の影響で深刻な水不足に陥り、県内の一部地域でコメ作りが正念場を迎えている。県中と県南の7市町村に農業用水を供給する羽鳥ダム(天栄村)は20日、貯水率の低下を受けて放流を停止した。コメ作りは最も水が必要な「出穂期」を過ぎたが、9月上旬ごろまでは水田を湿った状態に保たなければならない。農業関係者からは品質低下や収穫量減少などの不安の声が上がる。

 「せめて今月いっぱいは供給したかった。降雨を願うしかないので悔しい」。羽鳥ダムを管理する矢吹原土地改良区(矢吹町)の担当者は頭を痛める。例年は9月上旬まで供給を続けていたが、20日現在の貯水率が9%。同ダムはおおむね10%を下回ると放流ができなくなる。

 鏡石町の安田一郎さん(76)は、川などからポンプで水を引き急場をしのいできた。「収穫量は減るだろう。雨が降ってくれれば」と願うばかりだ。

 日中ダム(喜多方市)は、かんがい用水の供給停止が当初予定の20日から21日に延期されたが、同市の農業山内健一さん(70)は「こんな干ばつは初めて」と困惑。山内さんの水田では稲の一部が枯れたり、高さが順調なものより約20センチ低く、実があまり育っていないなどの被害が出ている。「水不足が続くと未熟米が増えて質の低下につながる。収穫量にも影響する」と深刻に語った。

 県農業共済組合(NOSAI福島)によると、農業経営を全体的にカバーする収入保険が来年1月に導入されるが、現行の農業共済の枠組みでは自然災害などによる収穫量の減少分が補償されても、品質低下による取引価格の下落分は対象外になっているという。

 県によると、新宮川ダム(会津美里町)は、23日に限界となる可能性がある。藤沼ダム(須賀川市)は25日ごろ供給を停止する。

 一方、台風19号と20号が日本列島に接近しており、農業関係者は「恵みの雨」も期待する。