倉本聰さん、自然の尊さ強調 福島でトークショー、現代社会に警鐘

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自然や文明社会などをテーマに自身の思いを語る倉本さん

 テレビドラマ「北の国から」などで知られる脚本家倉本聰さん(83)のトークショーが21日、福島県福島市のとうほう・みんなの文化センターで開かれた。倉本さんは人間が自然の中で生きることの尊さを語り、豊かさばかりを追求する現代社会に警鐘を鳴らしたほか、本県復興への思いを述べた。

 福島民友新聞社の主催。同センターで31日まで開催中の展覧会「森のささやきが聞こえますか―倉本聰の仕事と点描画展」の一環として開催。福島民友新聞社の五阿弥宏安社長が聞き手を務めた。

 倉本さんは自宅のある北海道富良野市での生活や、先住民が太古の森を守り続けてきたカナダのハイダ・グワイを訪れた経験を語った。北塩原村に7月に開校した富良野自然塾裏磐梯校に触れ、子どもたちへの環境教育の大切さを強調した。

 創作の上では物事を根底から考えることを重視していると明かし、「富士山登山は5合目までバスで行くことが多いが、上に登るほど視野は狭くなり選択肢は少なくなる。5合目ではなく『海抜ゼロ』から登山を始めるような、広い視野で考えることが大切だ」と説いた。

 展覧会では、震災被災地に幾度となく足を運んでいる倉本さんが、富岡町夜の森を訪れて描いた桜の木の点描画19点を展示している。

 会場で自身の作品を確認した倉本さんは「桜の木々一本一本を記憶している。コケが生え、クモの巣が張る姿は、毎日人に見られている桜の木々とは違うように思えた」と振り返った。

 「自然保護」倉本さんに共感 来場者ら間近で感激

 展覧会「森のささやきが聞こえますか―倉本聰の仕事と点描画展」に合わせて開かれた脚本家倉本聰さん(83)のトークショー。来場者からは、自然保護の大切さを呼び掛ける倉本さんに共感する声が聞かれた。

 「自然は人間が迷ったときにわれに返る場所。人間の原点は自然だと思う」。福島市の保育士女性(64)は感慨深げに語った。女性は東京電力福島第1原発事故に伴い飯舘村から福島市に避難。「自分が住んでいた場所も緑が豊かだった。倉本さんも話していたが、生まれ育った環境は忘れられるものではない。空気や風の音は体に染みついている」と故郷の大切さを再確認した様子だった。南相馬市鹿島区の男性(70)は「人間は自然によって生かされている。だからこそ、自然を大切にしなければならない」と感想を話した。

 倉本さんは終了後「懐かしい人たちの前で話をしているような感じだった」と何度も訪れている本県でのトークショーを振り返り、富岡町の夜の森の桜については「改めて描きたい」と意欲を語った。