人手不足...飯舘で「介護」決意! 東京から単身移住の前野さん

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 東京電力福島第1原発事故以降、職員不足が続く飯舘村の特別養護老人ホーム「いいたてホーム」で、東京から村に移り住んだ前野かおるさん(62)が人手不足の解消に一役買っている。

 「いす持ってきましょうか」。同施設で今月上旬、原発事故後初めて屋外で開かれた納涼祭。藍色の浴衣を身に着けた前野さんが優しいまなざしで入所者やその家族に接していた。

 前野さんが縁もゆかりもない村に移住したのは今年6月。原発事故による全村避難が続いていた3年ほど前、被災地の現状を自らの目で確かめたいと、夫の洋さん(69)と村内を見て回り、村役場が機能を移した福島市飯野町で役場職員と懇談したことがきっかけになった。同施設の人手不足。避難指示後も高齢者の命を守るため、特例で村に残っての運営。前野さんの気持ちは揺れ動いた。

 約4年前、旧ホームヘルパー2級に当たる介護職員初任者研修を取得して都内で訪問介護をしていた前野さん。介護の資格保有者が多い都内ではなく、介護職員が少ない村だからこそ資格を生かし、復興の手伝いになるのではないか―。村の実情に触れる中で決意は固まっていた。

 施設で働いた経験はなく、「無理なのではないか」と周囲は心配したが、できない中でもやれることがあると移住を決断。村は県外から移住し、同施設で働く人のために住居を用意しており、この補助制度も前野さんの決断を後押しした。家族の理解もあり、前野さんは単身、村に移り住んでの生活を始めた。

 同施設は、原発事故当時、職員は130人おり、112人を受け入れていた。ただ、長引く避難生活や放射線への不安から徐々に職員は減少。6月1日時点では、職員は53人にまで減少、利用者は37人にまで大幅に減り、受け入れ人数も130人から70人にまで縮小。人手不足が深刻になりつつある。「(役に立ちたいという)気持ちがなによりもありがたい」。三瓶政美施設長(69)は歓迎する。

 見ず知らずの村に来て2カ月が過ぎた。「できないことは多いけど、利用者や職員の優しさでストレスはない」という前野さん。「働く環境も、職場の人たちの自然な優しさもありがたく、こんな気持ちの良いところで働かせてもらって、癒やされてるのは、私の方だ」