「サン・チャイルド」撤去へ 福島市長謝罪、設置継続は困難

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撤去が決まったサン・チャイルド=福島市・こむこむ

 福島市が教育文化施設「こむこむ」前に設置した立像「サン・チャイルド」の表現に一部から批判が寄せられていた問題で、市は28日、作品を撤去すると発表した。

 木幡浩市長は記者会見で「賛否が分かれる作品を『復興の象徴』として設置し続けることは困難と判断した」と述べ、謝罪した。

 展示が始まった今月上旬から、交流サイト(SNS)などで、立像が防護服姿であることや、線量計を模した胸のカウンターが「000」となっていることが「風評被害を助長する」「非科学的」との批判が集中。作品の表現を評価する声もあり、市の対応が注目されていた。

◆賛否交錯の末

 3日から福島市の教育文化施設「こむこむ」前に設置された現代アートの立像「サン・チャイルド」を巡る論争は28日、市が作品を撤去すると発表したことで急展開を見せた。市が「復興の象徴」と期待を込めた立像は設置から1カ月を経ないまま、姿を消すことが決まった。

 「市民の意見の把握に努め、市外からの意見も受け止めた。設置によって心を痛め、不快な思いをした方に心からおわびする」。木幡浩市長は28日に市役所で開かれた記者会見で神妙な表情を見せた。

◆意向調査、反対多く

 市は18日からこむこむの来場者に対し、立像についての意向調査を実施。27日までに110件の回答があり、設置に「反対・移設」が75人と、「存続」22人を大きく上回った。市へのメールや電話も否定的な意見が多かった。

 アンケートには「防護服がないと生活できないとの印象を与える」「子ども向けの施設に設置するのは問題」など撤去を求める意見の一方で、「災害の教訓になる」「勇気や元気が伝わる」などの意見があった。

 木幡市長は22日に立像を「復興の象徴」と評価し、設置の意義を強調していた。会見では「賛否を把握するのは難しい。愛称募集では小学生199人が応募していた。賛否は拮抗(きっこう)していたのでは」と未練ものぞかせた。

 作品は、現代美術家ヤノベケンジさんが2011(平成23)年に制作した高さ6.2メートルの子どもの立像。

 3体制作され、イスラエルや大阪など国内外で展示されてきた。防護服姿で、胸には放射線量を測る線量計を模したカウンターを配した。「原子力災害がない世界」を象徴し、復興へと立ち上がる人々に夢と希望を発信したいとの思いを込めた。

◆市長給与減額へ

 木幡市長は「設置に当たり(市民や議会との)合意形成のプロセスを欠いた」と謝罪。「ヤノベさん個人への誹謗(ひぼう)中傷はやめてほしい」と呼び掛けた。

 また市長給与を減額する方針を明らかにした。

 作品は早期に撤去し、別の展示場所が見つかるまで保管する。撤去には100万円以上かかる見通し。すでに設置に133万円かかっており、合計で約250万円の税金が投入される。

 9月議会でも立像問題が議論されるのは必至の情勢で、問題は今後も尾を引きそうだ。