いつか古里・双葉へ 避難の3人、いわきの復興住宅に店舗開業

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商業施設「だるまる」を地域住民の交流の場にしたいと意気込む(左から)小川さん、岡田さん、福田さん =いわき市勿来町

 「今できることを」。東京電力福島第1原発事故に伴い全町避難が続く双葉町が町外拠点に位置付けるいわき市勿来町の復興公営住宅「勿来酒井団地」に今夏、飲食店とコインランドリーの計3店舗が入った商業施設「だるまる」が開業した。避難先での店舗経営や将来の町への帰還に不安を抱えながらも3人の経営者は「古里のために」と挑戦する。

 「被災後の新しい出発」。父がつくった双葉町の観光名所、双葉ばら園で喫茶店を営んでいた岡田秀樹さん(47)は「カフェ&バー MARUJU(マルジュ)」を開いた。

 これまで県外で避難生活を送ってきたが、双葉の役に立とうと決意し出店した。マルジュを開店すると、バラ園の近所の人たちと再会。カレーや山菜うどんなど、バラ園時代と変わらない"双葉の味"に舌鼓を打つ姿に「双葉に戻ってきた気分」と目を細める。「双葉にバラ園があったことを伝えていきたい」

 マルジュの隣では、養蜂家の小川貴永(たかひさ)さん(48)が伊達鶏や川俣シャモなど地鶏料理をメインとした「食事処輪(りん)」を開店。なじみが薄く、繁華街も遠い同市勿来町酒井で飲食店を経営することへの不安は尽きないが「双葉に帰ればもっと大変なはず。今、自分にできることに挑戦し、課題を克服したい」と将来を見据える。

 勿来地区で3店舗目となるコインランドリー「てるてる坊主」を出店した福田工業社長の福田一治さん(47)は「3人で双葉に商業施設をつくり、帰還した住民の憩いの場にしたい」と解除後の構想を描く。

 長期避難が続く中で構想実現への弾みをつけるため、秋には双葉郡や周辺地域の住民が交流できる3店舗合同のイベントの開催を計画している。

 「今は勿来の地で事業を軌道に乗せることが双葉での生活再建の鍵」と3人の思いは一つ。双葉でもう一度笑えるよう、今を全力で生きる。

◆避難指示解除22年春ごろ

 双葉町では現在、帰還困難区域の避難指示解除を目指した特定復興再生拠点区域(復興拠点)の整備が進められている。

 町では、2020年に一部を先行解除し、22年春ごろに復興拠点全域の避難指示を解除したい考え。