楢葉・竜田駅前「武ちゃん食堂」再開 佐藤さん夫婦の奮闘続く

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JR竜田駅前のにぎわい再生に向け意気込む佐藤さん夫妻

 東京電力福島第1原発事故で一時全町避難した楢葉町は5日、避難指示が解除されて丸3年を迎えた。「駅前活性化の起爆剤になりたい」。同町のJR竜田駅前で8月24日に老舗食堂「武ちゃん食堂」を再開させた店主の佐藤茂樹さん(55)と妻の美由紀さん(53)は、町の玄関口にかつてのにぎわいを取り戻そうと奮闘している。

 4日正午。約30席の店内は町民や復興作業員でほぼ満席に。昼時を過ぎても客足は途切れず、佐藤さんは慌ただしく厨房(ちゅうぼう)を駆け回った。

 原発事故後、佐藤さん夫婦はいわき市に避難。2014(平成26)年7月、町役場前に仮設商店街が開設されると、佐藤さんは「古里で腕を振るいたい」と出店した。今年6月、国道6号沿いに仮設商店街に代わる新たな商業施設「ここなら笑(しょう)店街」が誕生するまで、復興作業員らを食で支えてきた。

 新たな商業施設には飲食店やスーパー、ホームセンターなど生活に必要な店舗が集まり、買い物客が集中している。佐藤さんも町から出店を打診されたが、先代で父の故武夫さんが1971年から店を営んできた思い出の場所に再び店を構えたかった。同駅は商業施設から東に約1キロ離れていて、客を呼び込めるのかどうか不安もあったが、7年半ぶりの再開を決意した。

 同駅前には震災、原発事故前、飲食店や商店が10店舗ほどあったが、いずれも再開していない。楢葉町に住む人は3424人(7月末時点)で人口に占める割合は48%強まで回復したが、この数カ月間は帰還に向けた動きが鈍くなっている。「食堂が駅前に足を運んでもらえるきっかけになれば、ほかの店舗も再開し、戻ってくる町民が増えるかもしれない。踏ん張り時だ」。佐藤さん夫婦の二人三脚の挑戦は続く。