津波対策、一度実施決定 東電元幹部の調書、経営優先し撤回

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 東京電力福島第1原発事故で、東電が2008(平成20)年3月に社長も出席して社内方針を決める役員会議で、第1原発で津波対策を実施すると正式決定していたことが5日、分かった。決定後に対策すべき津波の高さやコストが想定を上回ったため、経営状態を優先して約4カ月後に方針を撤回した。東電は事故後、「大津波は予測も対策も不可能だった」と説明し、津波対策の実施を決めたことはないとしている。

 東京地裁で同日開かれた、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人の公判で指定弁護士が元東電幹部の検察官調書を読み上げた。

 調書によると、東電は津波地震に関する政府見解(長期評価・02年7月公表)に基づき、第1原発に到来する可能性がある津波高を当初は7.7メートルと想定し、対策の実施を決めた。役員会議には被告の勝俣恒久元会長(78)のほか、当時の清水正孝社長(74)が出席していた。勝俣元会長ら被告3人はいずれも対策の実施に同意していた。

 その後、詳細な解析で津波高が最大15.7メートルに達することが判明。対策例で示した沖合防潮堤の設置には数百億円がかかり、工期が4~7年に及ぶことが報告されると、被告の武藤栄元副社長(68)が会議から約4カ月後の08年7月、長期評価に基づく津波対策の先送りを決めた。