北海道地震ルポ 生活奪った土砂崩れ、被災者「山からの津波」

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裏山が崩壊し大量の土砂が流れ込んだ現場。付近は茶色い山肌があらわになっており、土砂やがれきは人の背丈以上に積まれていた=8日、北海道厚真町吉野地区

 憩いの場だったはずの裏山が人々の生活を突如としてのみ込んだ―。6日発生した北海道胆振(いぶり)東部地震。人の背丈以上に積まれた土砂やがれきが無造作に置かれ、車両が通る度に砂ぼこりが舞い上がった。烈震が襲ってから初の週末となった8日、最大震度7を記録した厚真(あつま)町の土砂崩れ現場に取材に入った。

 厚真町は8日現在で死者31人、心肺停止2人、安否不明3人と、道内で最大の被害が出た。「まるで山からの津波だよ」。地震発生から約8時間後に、朝日地区の住宅から変わり果てた姿となった両親が見つかったという50代男性は茶色の山肌を見やった。

 土砂崩れがあった裏山は男性とその弟にとって遊び場だった。緑が生い茂っていた思い出の場所が、最愛の両親の命を一瞬にして奪い去るとは夢にも思わなかった。住宅は元の場所から20メートル以上流された。「まさかこんなことになるなんて」。男性はやり場のない怒りを抑えていた。

 約2キロ歩くと、大規模な土砂崩れが発生した吉野地区に着いた。道路の寸断は解消されたが、道路脇に壁のように土砂が積まれていた。捜索活動は続けられていたものの、前日の雨や相次ぐ余震の影響からか見守る家族の姿はまばら。生存率が大幅に下がるとされる72時間が迫る中、福島県警などでつくる捜索隊が懸命に作業に当たっていた。

 午後6時すぎ。土砂崩れの現場から南西に約5キロ離れた町役場近くの避難所を訪れると、約400人が身を寄せていた。ボランティアがカレーなどを用意。この日から風呂の提供も始まり避難者の表情に笑顔が見えた気がしたが、すぐに打ち消された。

 「これだけ良くしてもらって幸せでありがたいけど、いつになれば普段通り暮らせるのかな」