子どもたちとの出会い宝物...白河・私設図書館「柿の木文庫」閉館

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開館最終日に子どもたちに囲まれ笑顔を見せる石村さん(前列中央)

 子どもたちに寄り添い続けた白河市の私設図書館「柿の木文庫」が8日、約20年の歴史に幕を下ろした。「子どもたちとの出会いが私の宝物」。石村宮子代表(84)から笑みがこぼれた。

 「白河への移住は想像もしていなかった」と石村さんは振り返る。東京都で外資系の金融機関に勤めていた。会社員時代の元上司の遺骨が同市に埋葬されていると聞き、慰霊のため毎年足を運んでいた。定年を迎え家族と共に海外への移住を考えていたが、元上司を埋葬した同市の男性の勧めで、移住先を白河に決めたという。

 定年後は社会奉仕に従事しようと決意していた石村さん。移住後に訪れた市立図書館を見て「もっと充実した環境にできないか」と私設図書館の開館を思い立ち、行動に移した。

 以前交流のあった柿の木文庫(東京都)から約800冊を受け、1998(平成10)年に私財を投じて自宅の一部で図書館を開設した。

 ボランティアを募ってお話会やミニコンサート、勉強会も開き、子どもたちが交流できる場所にした。東日本大震災で一時閉館したが、約3カ月後に再オープンした。集めた本は7000冊を超えた。

 開館最終日の8日も多くの子どもたちが訪れ、本を読んだり、翻訳作業に熱中した。小学3年の時から通っているという西郷二中2年の女子生徒(14)は「翻訳家の夢はここから始まった。閉館は寂しい」と声を落とした。

 石村さんは「もう体力が続かない」と閉館の理由を語り、図書は同市の小学校などに寄贈する予定だ。「ここで過ごした子どもたちの成長していく姿が喜びだった」。石村さんは愛情を注いだ図書を、子どもたちのように優しくなでた。