八坂神社再建へ、被災前の形で 「浪江を離れている住民の力に」

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八坂神社の社殿があった場所に立つ佐藤さん。再建は「故郷を離れている住民にとっても力になるはず」と話す

 東日本大震災で被災、東京電力福島第1原発事故による全町避難で社殿が甚大な被害を受けた浪江町樋渡の八坂神社が来年、再建される。震災から7年6カ月。同町は一部地域を除き昨年3月末に避難指示が解除されたが、町民のほとんどはいまだ町外で避難生活を続ける。住民帰還が進まないのは同地区も同様だ。関係者は、住民の心のよりどころだった神社を震災前の姿に戻したいと願う。

 「町外で生活を再建したりして住民は戻っていない。でも、故郷を離れている住民にとって力になるものが必要だ」。7月に被災した社殿が取り壊され、更地となった神社の再建予定地で再建委員会の委員長を務める佐藤安男さん(80)=福島市に避難=はそう力を込めた。

 同神社は元々、神仏混合の天王宮と呼ばれていたが、明治政府の神仏分離令で1871(明治4)年に八坂神社となった。疫病や害虫などの邪気払い、学問や縁結び、商売繁盛などに御利益があるとされ、例大祭などでは地域の住民が集う地域の憩いの場の一つだった。

 2011(平成23)年3月の震災。社殿は崩れ、大きな被害を受けた。そして直後の原発事故で町は全町避難となり、被災したままの社殿の再建も進んでこなかった。しかし、氏子や地元住民らから「このまま放置していていいのか」との声が上がり、氏子や住民らは3年ほど前に神社の再建に向けた委員会を設立、準備を進めてきた。再建資金には東電の賠償金や地元住民の寄付、県神社庁の助成金などを充てる。かつて使われていた、彫刻が施された木材を再利用するなど、被災前と変わらない形で再建する計画だ。

 「神社を造ってお祭りをやって、古里に戻ってみるかという気持ちになってもらいたい」と佐藤さん。今月13日には現地で地鎮祭を行い、再建が本格的に動きだす。完成は来年6月の予定。7月には例大祭もある。「遷宮や例大祭をどのように開くか、今から楽しみだ」。佐藤さんは、再建されてよみがえった神社の姿を思い浮かべる。