【福島から見た地方の未来】兼業、乏しい理解 仕事との両立に課題

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にぎわう復興拠点の商業施設。住民帰還の促進など復興を進めるためには町政運営への多様な意見の反映が必要だ=楢葉町北田

 「働き盛りや子育て世代は極めて立候補しにくい環境だ」。楢葉町議の岩間尊弥(たかみ)さん(50)=1期=は、議員活動に対する勤め先の理解の乏しさや報酬の少なさがなり手不足の根本的な問題だと訴える。

 岩間さんは2017(平成29)年7月の町議選で唯一の新人として立候補した。避難先のいわき市から町内に戻った際、生活に不便さを感じたことが動機だった。若い世代が帰りたくなるような魅力ある町づくりに心を砕きたいと、当時勤めていた会社に「仕事と議員活動を両立したい」と申し出たが、認められなかった。

 不退転の決意で退職し議員になった。しかし、報酬は月額約24万円で年収は会社員時代の半分になった。長女と次男は大学生で、岩間さんは「生活できない」と途方に暮れる中、古くから付き合いのあった設備業の会社が議員活動日の休暇を認めるなど理解を示し、現在は会社の月給を得て二足のわらじを履く。

 同町議選では、立候補者が11人にとどまり、定数12を満たさないまま無投票当選が決まった。県内市町村議選で補選を除き定数割れは初の事態。避難により支持を集めることが難しいなど震災、原発事故の特殊要因も指摘されるが、岩間さんは「原発事故がなくても、いずれは定数割れの道をたどったのではないか」と疑問を投げ掛ける。

 全国的になり手不足が深刻化する中、北海道浦幌(うらほろ)町議会は解決策を見いだそうと先駆的な取り組みを続けている。15年の町議選では定数割れを防ぐため定数13を11に減らしたが、それでも欠員が1人出た。選挙後、危機感を抱いた議会は、住民目線でなり手不足の原因を突き止めようと、2千人を対象にアンケートを実施。6割強の住民が回答した「議員と仕事の両立ができない」との意見を踏まえ、兼業を後押しする案を打ち出した。会社勤めの議員が定例会などで会社を休む際、町が勤務先に代替え職員を雇うための費用を補助する仕組みだ。

 全国町村議会議長会によると、全国の町村議の7割強(17年7月1日時点)が60歳以上。地方議会に詳しい大東文化大の東田親司名誉教授(72)は「サラリーマンや主婦など多様な意見を行政に反映させるため、議員に魅力を感じてもらう対策が必要だ。各議会の真剣な努力が求められる」と提言する。

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