津波対策先送り否定 東電の武藤元副社長、国予測「信頼性ない」

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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷の罪で強制起訴された東電の旧経営陣3人の第30回公判は16日、東京地裁(永渕健一裁判長)で被告人質問が始まった。武藤栄元副社長(68)は、争点となっている被告3人が津波対策を先送りしたのか否かについて「妥当な判断をした。先送りと言われるのは大変心外だ」と対応の合理性を強調、改めて自身の刑事責任を否定した。

 武藤元副社長は「社内で津波対策が決定していた事実はない」とした上で、当時の役職の原子力・立地副本部長には「対策を決めたり、決まった方針を変える権限はなかった」と説明。津波地震に関する政府見解(長期評価)については「根拠がなく曖昧で信頼性はないと思った。検討を外部に委託したのは自然だ」と述べた。

 また津波予想高が15.7メートルとなるとの報告を受けた際、武藤元副社長が「もっと値を下げられないのか」と発言したとする元幹部の検察官面前調書について「そんなことを言うはずがない」と反論した。

 一方、15.7メートルの試算結果を受けて2008(平成20)年8月、武黒一郎元副社長(72)に報告したと証言した。

 冒頭では「大変多くの方々に言葉では表せないほどのご迷惑を掛け、深くおわび申し上げます」と謝罪した。

 これまでの公判で示された証拠や証言によると、東電は同年3月、被告3人の了承を得て第1原発の津波対策を正式決定。その後、長期評価に基づく試算で、対策すべき津波高が15.7メートルに達し、対策経費が数百億円に上ることが分かると、武藤元副社長が経営状態を優先し、約4カ月後に方針を撤回したとされる。

 次回は17日午前10時から、引き続き武藤元副社長の被告人質問を行う。今後、武黒元副社長、勝俣恒久元会長(78)の被告人質問が続き、検察官役の指定弁護士と弁護側双方の立証が終わる見通し。

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