福島県建設業「売り手市場」 佐藤工業子会社化...広がるM&A

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 県内建設業大手の佐藤工業(福島市)が大手ゼネコンの100%子会社となる見通しとなった。建設業界は好景気に支えられ、合併・買収(M&A)を選択する動きが全国的に広がっており、特に復興特需で業者の経営環境が改善した本県は「売り手市場」となっている。

 「建設業のM&A環境は全国的に見ても今が最もいい状態」と日本M&Aセンター(東京都)の建設・不動産業界担当者は説明する。建設業界でのM&Aの件数は2011(平成23)年以降、右肩上がりで、その傾向は本県でも同様だ。「『経営状況がいい時に売りたい』という企業が増えている」と担当者は続けた。

 県建設業協会によると、県内の建設投資額のピークは1992年度の1兆7116億円。以降、バブル崩壊後の景気の低迷などを要因に減り続け、2010年度は6割減の6142億円に落ち込んだ。

 潮目が変わったのは11年の東日本大震災。復興需要により、ほとんどの業者の経営状況が改善、16年度の建設投資額はピーク時と同程度にはね上がった。協会が会員事業所を対象に行った17年度実態調査では、233社のうち9割近くが「増益」または「黒字」と回答した。

 さらに売上高に占める営業利益の割合を示す「売上高営業利益率」の県内平均も震災後に急上昇した。15年度のデータで東日本平均が1.83%、東北平均が2.43%に対し、本県平均は3.18%に上った。ある業者は「特に除染を請け負った業者は震災前の何倍もの利益を得て潤った」と話す。

 ただ、復興需要のピークは過ぎており、業者は復興事業が収束した後の事業量減少に伴う受注競争の激化を懸念する。「事業量の減少に伴う将来への不安からM&Aの増加が予想される」との見方も業界内で出ている。

 県内では、生き残りを懸けたM&Aの動きが出ている。今年1月に相馬市の小野建設と中村土木が合併した。16年9月には郡山市の陰山建設が福島市の亀谷建設を完全子会社化し、15年11月には会津若松市の東北土木が会津坂下町の入谷建設工業から事業譲渡を受けた。ある業界関係者は「全国的にも事業量が減る中、本県は面積が広い分、公共インフラが多く、メンテナンスでの需要もあるため大手企業にとっても魅力的だ」と指摘した。

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