【プラごみと亀】静かに海を『破壊』 分解され拡散...生物蓄積

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深刻化する海のプラごみ。ウミガメは問題に多くの人が関心を持つきっかけとなった(写真はコラージュ)

 海水と同じ成分に調整された水槽の中を約1メートルのアカウミガメが平たい前脚を優雅に動かしながら泳いでいる。いわき市の環境水族館アクアマリンふくしまが浜通りで2012年に見つけた約130個の卵からかえったうちの1匹。ほかの仲間は海に返されたが、最も澄んだ海水の中で暮らしているのはたぶん、水族館にただ1匹残ったこのカメだ。

 海には今、本来ないはずの物質が急増している。5ミリ以下の微細なプラスチック片「マイクロプラスチック」。ごみなどとして海や海岸にあったペットボトルなどが破砕され、海中に拡散。プラスチックごみ(プラごみ)が海を壊し始めている。

 プラごみは今後も増加するとみられ、2050年には海中のプラごみの重さが、海中の全ての魚の総重量を超すとの予測もある。

 「全てのプラスチックがリサイクルされているわけではない」。アクアマリンのあるいわきを含む国内の海岸には海から打ち上げられたのであろう変色したペットボトルなどが点在している。「浜辺にプラごみがあるということは、魚や貝の中からも見つかるかもしれないということ」。マイクロプラスチックを巡る問題に詳しい東京農工大農学部環境資源科学科の高田秀重教授(59)は指摘する。

 高田氏によると、海を漂うプラスチックにはさまざまな有害化学物質が含まれている。海水中で吸着される有害な化学物質もある。有害性が認められ、現在では使用禁止となっている油状の化学物質「ポリ塩化ビフェニール(PCB)」などがプラごみに吸着・濃縮されて、のみ込んだ海鳥や魚などの体内に化学物質が蓄積、生態系に悪影響を与えるほか、食品を介して人体に入り、健康に悪影響を及ぼす可能性がある。

 問題が関心を集めるようになったのは約3年前にインターネットで広まった一本の動画がきっかけだった。ウミガメの鼻に刺さった物質を引き抜いたところ、それがストローだったというものだ。以降、ウミガメはプラごみなどによる海洋汚染問題でシンボル的な意味合いを帯びている。

 「海に入ってくるのは使い捨てのプラスチックがほとんど」と高田氏。「日本全国のレジ袋の消費量は年間約300億枚、ペットボトルは200億本以上ともされる。プラスチック消費の削減、新たな生産を減らしていくことが必要」

          ◇

 アクアマリンふくしまを主催館に5日開幕する世界水族館会議でも海のプラごみ問題について報告が行われる予定だ。人々の生活に不可欠となっているプラスチックが海に流れ込むことでどのような影響が懸念されるのか。現状と課題を追う。

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