「朝河貫一学術協」発足へ 母校研究者ら早大と福島県結び拠点

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
県立図書館所蔵の「昭和天皇宛 大統領親書草案」の一部(英文、レプリカ)

 本県出身の歴史学者で、米・イェール大教授を務めた朝河貫一(1873~1948年)の没後70年の節目に合わせ、その業績と思想を研究、再評価し、現代に即した視点から国際的に発展させていく学術ネットワーク「朝河貫一学術協会」が、早大の研究者を中心に発足する。10日、都内の同大戸山キャンパスで第1回研究会を開き、事業計画を固める。

 発起人の一人、甚野尚志・早大文学学術院教授(福島高卒)によると、構想ではネットワークの拠点を朝河の母校である同大と、朝河の故郷で、その書簡などを所蔵する県立図書館がある本県とし、研究成果を発信する。

 具体的には、恒常的にネットを通じて研究を発信し、年2、3回程度、同大で研究会を開催。また年1回程度、朝河貫一博士顕彰協会との共催で福島、郡山両市でシンポジウムを開く。

 甚野教授は「将来的にはイェール大学にも拠点を設け、朝河が理想とした国民相互の和解を念頭に置いた、世界各地域の研究者を結ぶネットワークを構築したい。福島の若者たちにも戊辰戦争後の県内に生まれ国際人となった朝河の思想を知り、大震災後の『精神の復興』について考えてほしい」と話した。

 また、一級の資料として知られる「昭和天皇宛 大統領親書草案」をはじめ県立図書館が所蔵する約2800点の書簡やメモなどのうち、研究が進んでいない膨大な資料の分析も進める計画。同図書館の杉浦孝幸館長は「学術協会の創設は、朝河博士の偉大な功績を多くの人たちに知ってもらう絶好の機会で、できる限り協力したい」と話している。

 日米開戦を回避するため米大統領から昭和天皇宛ての親書を送るよう草案を書いたことなどで知られる朝河は、日本とヨーロッパの封建制度の比較研究者として、欧米で評価された。また、日露戦争後の海外膨張を指向する日本に警鐘を発する著作「日本の禍機(かき)」でも知られる。

おすすめPickup!ニュースの『玉手箱』

内堀知事初登庁「2期目」スタート 挑戦を進化...復興創生前進