【プラごみと亀】経済と環境の均衡課題 世界の潮流、急激に変化

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 プラスチックごみ(プラごみ)と海洋汚染を巡る世界の急激な動きに政府や関係団体は難しい対応を迫られている。

 「コスト増や(プラ製品に代わる)技術開発が追い付いていないのは否めない」(政府関係者)。世界的なプラごみ削減の動きに、対応の遅れが指摘される政府は経済と環境のバランスに頭を痛めている。

 プラスチック排除の流れを急進させれば、国民生活だけでなく、国内経済への打撃にもなりかねないが、世界有数のプラ製品の使用や排出を抑えなければ日本への批判はさらに強まることが予想される。

 環境省はプラごみ削減戦略で2030年までにプラ製の包装容器のリサイクル、リユースの割合を60%に高める一方、環境に優しいバイオ素材への転換を加速させ、13年度の7万トンから約200万トンまで拡大させて影響を抑えることを想定するが、政府関係者は「社会を挙げてプラごみ問題に取り組む機運を本気で盛り上げなければ、目標倒れに終わってしまう」と懸念している。

 ◆プラごみの禁輸が拡大

 中国が今年からプラごみの輸入禁止へと政策のかじを切り、東南アジアでも禁輸の動きが出始めている。日本がプラごみを輸出し、国外で処分する道は狭まりつつある。

 プラスチック循環利用協会の報告書によると、2016年の国内の樹脂製品消費量は約980万トン(前年比16万トン増)で、プラごみの総排出量は899万トン(同15万トン減)だった。このうち、84%に当たる759万トン(同4万トン減)がリサイクルなど有効利用された量とされる。

 同協会は「有効利用率は世界トップクラス」と評し「取り巻く状況は厳しくなりつつあるが、マイナス面だけでなく、プラス面にも十分に目を配る必要がある」としている。

 ◆EUは循環政策

 環境問題への対応が進む欧州連合(EU)は「サーキュラー・エコノミー(循環経済)」と称した経済政策を加速させている。廃棄物の発生を可能な限り抑える方針を掲げ、コスト削減や雇用創出で2030年までに約1兆ユーロ(約123兆円)相当の経済効果を目指している。

 日本でも政府が有識者の研究会をつくり、循環経済を見据えた方向性を探っている。経済産業省は「プラごみを海に流さない取り組みが重要であり、回収やリサイクル、リユースを進めることで有効に使うことができる」との考え。日本がこの分野で新たな技術を開発できれば「海外展開も可能」と期待を寄せている。

 ◆生産抑制へ法規制必要

 プラスチックごみ問題で日本に何が求められているのか、三橋規宏(ただひろ)千葉商科大名誉教授(環境経済学)に聞いた。

 ―プラごみ問題を巡り、日本の現状をどう見るか。

 「微小なマイクロプラスチックによる海洋汚染は深刻化しており、地球規模での対策が急務だ。脱プラスチックに向けた挑戦は世界で始まっている。しかし、日本の対応は世界の潮流から何周も遅れている。地球温暖化対策の枠組みを定めた京都議定書の第1期(2008~12年)が終わって以降、日本は野心的に取り組んでおらず、『環境先進国』とはいえない」

 ―日本が遅れた要因は。

 「6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、国際的な海洋プラスチック憲章に署名しなかったのは日本と米国だけだ。仮に企業側の反対があっても、政府が強い意志を持って環境政策を進めなければ具体的な成果は上がらない」

 ―環境政策と経済との両立が課題だ。

「プラごみの減量に向け、ごみになりやすい製品の生産販売を抑えることが重要となる。既得権益にとらわれず、法規制が必要だ。法規制があるからこそ、企業はそれを突破しようとして投資し、新しいイノベーション(技術革新)が生まれる。政府が長期のビジョンを提示することでイノベーションが起こり、経済効果につながる」

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