SNS「相手を疑って」...事件相次ぐ 誘拐、略取被害全国21人

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 会員制交流サイト(SNS)での出会いが発端となり、子どもが犯罪に巻き込まれる事件が後を絶たない。県内でも、SNSに「家出したい」と書き込んだ郡山市の少女(13)が10月、わいせつ目的で東京の男に誘拐される事件が発生した。SNSをきっかけに誘拐や略取の犯罪被害に遭った子どもは昨年、全国で21人。専門家らは「犯罪者は理解者のふりをして近づいてくる。ネットで知り合った人とは、絶対に2人きりで会わないで」と注意を呼び掛ける。

 「#家出少女」。SNSの一つ、ツイッターで検索の印である「#」(ハッシュタグ)を付けて「家出少女」を検索すると、「寒い。泊めてください」「何でもするので、泊めてください」などの投稿が出てくる。

 この投稿に対し、「とりあえず警察に行こう」「家に帰ろうか」など忠告の返信をする人がいる一方、年齢や性別が不明な人たちから「迎えに行くよ」「泊まる場所を用意するよ」「泊めますよ。DM(ダイレクトメール)ください」などといったやりとりも繰り返されている。

 投稿者の名前(アカウント)は匿名でも可能。DMでやりとりすれば、会話の内容は第三者から非公開にもできる。ツイッター上での会話から透けて見えるのは利用者の警戒心の薄さだ。

 情報ネットワーク通信が専門のいわき明星大教養学部の中尾剛教授は「年齢も性別も確認しようがない。相手を疑うことを忘れないでほしい」と指摘。「スマートフォンを使い慣れた多くの中高生が、学校で友人と会話する感覚でやりとりしてしまっている。ネット空間と現実をしっかり区別してほしい」と訴える。

 SNS犯罪被害は福島県内23人

 SNSが発端となり、犯罪被害に遭った18歳未満の子どもは昨年、全国で1813人に上った。警察庁が統計を始めた2008(平成20)年以降、過去最高で、うち県内では23人が被害者となった。昨年10月には、福島市の女子高生が、神奈川県座間市のアパートから9人の切断遺体が見つかった事件の被害者になった。

 県警は「サイバー補導」で犯罪被害に遭う前に子どもたちを保護しようと取り組むが、ネット上の膨大な会話を全てチェックするのは不可能だ。犯罪被害に遭った18歳未満の子どもの9割弱はスマートフォンを利用してSNSにアクセスしており、今も保護者らの目が行き届かないところで交信が続いている。

 LINE相談840件

 会員制交流サイト(SNS)をきっかけにした子どもの犯罪被害が相次いでいる一方で、県教委が5月から始めた無料通信アプリ「LINE(ライン)」で児童や生徒の悩み相談に応じる事業は一定の効果を上げている。県教委によると、8月末までに約840件の相談が寄せられた。身近な人に相談しづらい悩みをネット上で相談でき、若者の悩み解消の受け皿になっている。

 県教委によると、相談件数は1日平均で8.8件。これまでの電話相談窓口では、1日平均3.3件程度だった。担当者は身近なツールで気軽に相談できることが要因とみており、「身近に向き合ってくれる相談相手を求めているのだと思う」と話した。

 相談内容は、友人関係や恋愛などの人間関係が16.6%、不登校や部活など学校生活が14.3%、学業、進路が5.1%と続く。中学生からの相談が最も多く、次いで高校生、小学生の順だった。