【再エネの未来】「どこでも発電」社会 地域の電源、ネットで結ぶ

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震災後、県内では太陽光発電所の設置が加速。「発送電分離」も2020年に迫る=富岡町

 「携帯電話のように会社を乗り換えても大丈夫という感覚、制度への理解が進んできた」。須賀川ガス(須賀川市)の橋本直子社長(36)は、消費者の電気に対する考え方の変化を実感している。

 同社は2016(平成28)年4月、電力小売り全面自由化と同時に電力事業に新規参入した。福島県内約80カ所にある太陽光発電所で電気を生産し、需給管理から供給まで一括して手掛けることで低コストを実現。初年度は約千件だった契約件数も、今では約6千件と大きく伸びた。

 既存の送電網を使う際に支払う託送料など課題もあるが、橋本社長は、さまざまな企業の参入が雇用創出や地域活性化につながると考えている。「新規参入企業を応援すべきだ。当社のノウハウも伝えたい」

 電力供給を一手に担ってきた東北電力は本年度、公共施設や企業、一般家庭の発電設備や蓄電池、電気自動車など地域に散らばる電気機器をインターネットでつなぎ、一つの発電所のように利用する「仮想発電所(バーチャルプラント)」の実証実験に乗り出した。

 IoT使い電気集約

 仮想発電所は、太陽光発電や電気自動車、ヒートポンプ式電気給湯器といった、地域に広く分散している発電設備や蓄電池をIoT(モノのインターネット)など新たな情報技術を使って遠隔制御・集約し、あたかも一つの発電所のように電力を供給する仕組みだ。現在、電力が足りなくなりそうなときは電力会社が火力発電所を稼働させて電力の需給バランスを調整しているが、それに代わる調整機能としての活用が期待されている。

 電力を取り巻く環境が多様化する中、最適なエネルギー管理に不可欠なのが、電力消費量の「見える化」だ。会津ラボ(会津若松市)は家庭や工場、学校などで消費量をリアルタイムで確認、消費量の制御などを実現する「エネルギーマネジメントシステム」(EMS)の開発を進める。

 同社は既にシステムの核となる電気メーター「スマートプラグ」を開発。専用アプリを使い電力や温度、湿度の個別変化を数値やグラフで確認でき、遠隔で操作すれば、電気の利用状況から高齢者や子どもの見守りなども可能だという。研究開発を担当する安瀬洋一さん(50)は「まずは技術を消費者に理解してもらい、『多機能型』で長く使い続けてもらうような機器を開発したい」と将来を見据える。

 40年ごろまでに100%

 東日本大震災を受け、県は2040年ごろまでに県内エネルギー需要の100%相当量を再生エネで賄う計画を掲げる。昨年度の導入実績は30.3%相当量に上ったが、目標達成には送電網の増強や再生エネ関連産業の育成・集積など多くの課題が山積している。

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 いわき市のアリオスで23日に開かれる「ふくしま再生可能エネルギーシンポジウム」を前に、再生可能エネルギーを巡る県内の現状と未来を探る。