【再エネの未来】安全性も高い「蓄電池」 長寿命のバナジウム

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LEシステムが電解液の量産化を目指すバナジウムレドックスフロー電池(コンテナタイプ)

 気象条件などに左右される再生可能エネルギーを有効に活用するためには、エネルギーを蓄えるための「バッテリー」が重要だ。県内では、さまざまな形でのバッテリー開発が進む。

 バナジウムを利用した大型蓄電池「バナジウムレドックスフロー電池(RFB)」の電解液の研究・開発を手掛ける「LEシステム」(福岡県久留米市)は、電解液の量産化に向けて、浪江町に初の自社工場を整備する。

 長寿命、安全性、自由設計、長時間蓄電―RFBの利点は数多い。バナジウムを電解液の両極に使用することで半永久的に利用可能とされ、ほかの蓄電池と違って発熱の危険性も少なく、発電所などにも事故の懸念なく設置できるという。電解液の量で蓄電量を制御できるため、電解液の量を増やせば長時間の蓄電も可能だ。

 同社は原料となるバナジウムを燃焼煤などの産業廃棄物から回収する研究を進め、安価で安定的な電解液の生産を可能にした。担当者は「原発事故の被害に遭った地域で、次世代のエネルギー活用社会の鍵となり得るRFB事業を行うことは意義がある」と話す。

 水素エネルギー活用

 産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所は、「つくる」「貯(た)める・運ぶ」「使う」の三つの観点から水素エネルギーの活用を目指す。中岩勝所長(63)は「電池などと違い、水素は長く貯めていても、比較的目減りしない。『貯める・運ぶ』には必要な技術」と意義を強調する。

 製造過程でCO2を発生させないよう、再生エネから水素をつくる研究を進めるほか、インクや接着剤の溶媒として広く使われている有機物質「トルエン」と水素を化合させたり、窒素を水素と化合させてアンモニアにするなど、水素を扱いやすい形にして貯蔵・運搬する技術を開発している。また、水素を吸い込む性質のある金属で大量の水素をためる方法も研究中だ。

 「水素エネルギーの技術は、日本が世界でも先行している。特に福島では、さまざまな分野に水素を活用するための研究、開発が進められている」と中岩所長。「再生エネ先駆けの地」の実現に向けた動きは、着実に前進している。