「廃炉資料館」30日開館 巨大スクリーンなどで現場臨場感再現

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巨大スクリーンが内壁3面を覆う立方体型の映像施設「エフ・キューブ」。建屋付近やタンク群など福島第1原発構内約10カ所の映像を映し出す

 東京電力が富岡町小浜の国道6号沿いの旧エネルギー館を改修して整備した廃炉資料館が30日、開館する。福島第1原発構内を訪れなくとも事故の経緯や廃炉作業の現状を分かりやすく伝える狙いで設けた情報発信施設。開館を前に27、28の両日、報道関係者や自治体向けの内覧会が開かれた。住民が求める情報が得られるのかどうかを見て回った。

 格納容器内映像なし

 館内に入ると、1階中央に鎮座する立方体の小部屋が目を引いた。内部の壁3面を高さ4.6メートル、幅6.4メートルの巨大なスクリーンが覆っている。汚染水を保管するタンク群や原子炉建屋付近、作業員でにぎわう食堂など原発構内約10カ所の映像が次々と視界いっぱいに映し出された。東電の社員は「入構したことがなくても現場の規模感が伝わる目玉コーナー」と力説した。

 確かに原発構内に足を踏み入れたかのような臨場感あふれる演出だ。ただ、今後の廃炉作業の核となる原子炉格納容器内部の実際の映像はなく、物足りなさも感じた。自治体の関係者は「原発を訪れても見ることができない炉内の現状を安全な場所から確かめたかった」と不満を漏らした。

 原発事故前、東電が原子力のPR施設として活用していた旧エネルギー館は「事故の事実」と「廃炉事業の現状」の二つのテーマを伝える資料館に生まれ変わった。2階建ての展示スペースは面積約1900平方メートルで、東電が一般向けに廃炉に関する展示を行うのは初めて。プロジェクションマッピングなど最先端の映像技術を駆使して汚染水対策の取り組みを「見える化」するなど、全体を通して来館者の関心を引き寄せる仕掛けが見られた。

 展示に専門用語散見

 一方、一部展示コーナーではペデスタル(原子炉圧力容器を支える台座)や遮蔽(しゃへい)体(放射線を遮る設備)などの専門用語が散見され、ある程度の知識がなければ十分に理解することは難しい。嶋津康館長は「来館者の声を大切にしながら運営の充実を図る」と展示内容を定期的に更新する考えを示した。専門知識を持つ人だけでなく、将来の復興を担う子どもから高齢者まで幅広い世代に情報が伝わるためには住民目線で表現方法などを工夫する必要があると感じた。

 資料館は入館無料

 資料館は入館無料。開館時間は午前9時30分~午後4時30分。休館日は毎月第3日曜日と年末年始。30日から問い合わせを受け付ける。