海中から手掛かりを...南相馬・小高沖で「震災不明者」捜索開始

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海中からソナーを引き揚げる関係者=28日午前、南相馬市小高区の沖合

 東日本大震災の津波で多くの行方不明者が出た南相馬市小高区の沖合で28日、水中音波探知機(ソナー)とダイバーによる海中捜索が始まった。「心の区切りをつけたい」。行方不明者家族の願いを受け、旧日本兵の遺骨探索などを行うNPO法人「アジア太平洋英霊顕彰会」(東京都)がいまも海に眠る行方不明者の手掛かりを捜している。

 心の区切りに

 同法人に捜索を依頼したのは同市小高区の会社員蒔田保夫さん(49)。同法人によると、震災当時、海沿いの同市小高区角部内の自宅にいた家族3人が巨大な津波で流され、うち1人は7年8カ月が過ぎたいまも行方不明のままだ。

 市によると、同市の行方不明者は28日現在で111人。このうち小高区では17人が見つかっていない。同区沿岸では防潮堤の建設など復興が進む一方、蒔田さんはまだあの日に取り残されている。「何かしら手掛かりが見つかれば」。今年2月、知人を通じて蒔田さんから家族捜索の依頼を受けた同法人は、相馬双葉漁協や海上保安庁と捜索に向けた話し合いを進めてきた。

 潜水士投入へ

 海上自衛隊OBらで組織する同法人は、太平洋戦争で没した旧日本兵の遺骨回収に向けた情報収集のほか、ガダルカナル島沖で沈没した戦艦「比叡(ひえい)」の探索などを行っており、海中捜索などの経験がある。

 捜索は同市小高区角部内から浦尻にかけた沖合約1キロ地点で南北約2キロ、東西350メートルにわたり海底にがれきなどがないかをソナーで調べた。蒔田さんは参加できなかったが、地元漁師の協力で同法人の3人が同市鹿島区の真野川漁港から漁船で出港。約3メートル四方の物体が6カ所の海底に沈んでいることを確認した。データ解析を進め、早ければ12月にもダイバーを投入し、海中を捜索する予定だ。

 捜索に協力した第18稲荷丸の渡部克彦船主(78)も蒔田さんと同じく震災の津波で同市小高区の自宅が被災し、家族を失った。蒔田さんの思いが分かるからこそ、「一刻も早く行方不明者を見つけたい」と話す。捜索に参加した同法人の山崎宰さん(26)は「行方不明者の手掛かりを少しでも見つけたい。それが少しでも前に進むきっかけになれば」と話した。