復興拠点...詳細線量把握『焦点』 最高毎時7マイクロシーベルト

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大熊町、双葉町、富岡町の復興拠点周辺の空間放射線量

 東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域の特定復興再生拠点区域(復興拠点)について、政府が12月中にまとめる放射線防護対策では、より詳細な被ばく線量の把握が焦点となる。空間放射線量の測定や空気中に舞うちりの採取を試行しており、避難指示解除の判断材料にしたい考えだ。

 内閣府は28日の原子力規制委員会の定例会合で、復興拠点について、JR常磐線沿線の大熊、双葉、富岡3町の各駅周辺で8月に測定した空間放射線量を公表した。

 無人ヘリコプターで5メートル四方の範囲を測った結果、大熊町のJR大野駅北部と双葉町の国道6号東側などで最も高い毎時7マイクロシーベルト(地表からの高さ1メートル)だった。富岡町では毎時3マイクロシーベルトが最高だった。

 復興拠点では、住民が帰還できるようにするため、国が除染作業とインフラの整備を一体的に進めている。今回の測定時点では一部地域で除染が始まった段階で、政府は「今後、除染が進めば放射線量は5割ほど低減する」と推計している。

 「防護策」安全・安心確保を

 復興拠点を巡り、政府は避難指示解除に必要な要件を年内に提示する。放射線量が高く帰還困難区域に指定された経緯から、解除には被ばく線量の低減など住民の安全・安心を確保する対策が重要となる。

 政府が28日に示した放射線防護対策の骨子案は、2013年11月20日に原子力規制委員会が作成した「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」に基づく。ただ、復興拠点内での居住を目指すという状況を踏まえ、複数の行動パターンを想定した外部被ばく線量を推計するなど、より詳しい線量状況を把握する対策を盛り込んだ。

 しかし、震災と原発事故から7年8カ月以上が経過する中、避難指示解除地域への住民の帰還率は低く、防護対策に加え、働く場所の確保など地域振興策も欠かせない。

 政府には住民や自治体の意見を踏まえ、生活実態に合った対応策を検討することが求められる。

 大熊町15マイクロシーベルト 屋外10時間活動被ばく線量推計値

 内閣府は復興拠点のうち一部地域で避難指示の先行解除を見込む大熊、双葉、富岡3町に、住民や復興関連事業者らが立ち入った場合を想定し、成人の被ばく線量の推計値をまとめた。

 「現地で成人が屋外を自由に移動した」と仮定し、1回当たり10時間活動した場合の被ばく線量が大熊町で15マイクロシーベルト、双葉町で7.7マイクロシーベルト、富岡町で8.3マイクロシーベルトと見積もった。

 算出に当たり、無人ヘリで8月に測った空間放射線量を原則として活用した。その数値を補正するため、屋外では0.6、屋内では0.4をそれぞれ乗じた。

 ただ、今回の推計値は除染前の放射線量を基に算出したため、現実的な数値とはいえないのが実態だ。内閣府は「より精度の高い推計値を出したい」と説明。JR常磐線が全線開通する計画の2020年3月までに詳細な推計値をまとめた上で、大熊、双葉、富岡、浪江、葛尾、飯舘6町村が復興拠点の避難指示解除の目標とする22~23年春前に実測値を示す方針だ。

 規制委の伴信彦委員は28日の会合で「放射線量を測るのは目的でなく、無用な被ばくを避けるための手段だ。住民の疑問にきめ細かく丁寧に対応してほしい」と内閣府に注文を付けた。