会津へ感謝...紙芝居に 大熊町民ら12月上演、古里の伝承などテーマ

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せりふの読み合わせを行う(左から)山崎さん、橘さん、斎藤さんらメンバー

 「古里を知ってほしい。そして私たちを受け入れてくれた会津に、ありがとうの気持ちを伝えたい」。そんな思いを込めて、東京電力福島第1原発事故で、大熊町から会津若松市に避難する町民らが12月23日、同市で紙芝居を中心にした舞台「絵おと芝居」を上演する。事故直後の避難を題材にしたストーリーや、町民を温かく迎えてくれた会津に息づく「義」の思いをたたえたいと、戊辰戦争を戦い抜いた新島(山本)八重の物語も披露する。

 出演するのは、同市に暮らす町民らでつくる「おおくま町物語伝承の会」の会員ら。代表の橘秀人さん(70)が、広島市の市民団体「まち物語制作委員会」の協力を得ながら公演を計画した。

 舞台は、町民に親しまれた伝承で、日隠山にすむとされるてんぐの紙芝居で幕を開ける。てんぐは町の歴史を語り、やがて原発事故が起こるまでの町の様子を話し出す。続いて八重の紙芝居を上演する。橘さんは「つらさに耐え、懸命に生きた八重の姿は大熊町民の姿に重なる」と言う。

 舞台の最後には、事故直後の混乱の中、町民に希望を与えた会津若松市での学校再開を、大熊中生の目線で振り返る。

 同市の白虎団地集会所。公演まで残り1カ月を切り、伝承の会のメンバーは、真剣にせりふの読み合わせに取り組んでいた。稽古の合間には、穏やかだった頃の古里の話題にも花が咲く。斎藤猛さん(72)は「日隠山の頂上からは海も見えたんだ」と笑顔になった。

 町は来年5月にも一部地域で避難指示が解除される見通しだが、斎藤さんが暮らした場所は帰還困難区域にあり、すぐに戻れる状況にはない。それでも古里への思いは強い。「本番ではあの頃の日隠山を思い出しながら、舞台に立ちたい」と話した。

 伝承の会は来年1月24日、プロの俳優も出演する東京公演を開く計画だ。会場には展示スペースを設け、会津の魅力もPRする予定だ。同会で広報を担当する山崎由美子さん(52)は昨年、会津若松市から田村市に移ったが、会津への感謝は忘れていない。「不安だった初めて冬、雪かきをしてくれたり、雪道の歩き方を丁寧に教えてくれた人がいた。目に見える形で、会津に恩返しをしたい」と力を込めた。

 会津公演は入場無料。会津若松市の会津迎賓館で午後1時30分から始まる。