「これほどの保存状態、驚き」 縄文時代のクルミ詰まった籠出土

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クルミ数百個が入った籠について説明する南相馬市教委文化財係の川田係長

 「これほど保存状態の良い物が出たことに驚きだ」。福島県南相馬市鹿島区寺内の「鷺内(さぎうち)遺跡」の発掘調査で出土した、クルミが大量に詰まった籠は非常に高い保存状態から、縄文人の食文化や編み物技術解明につながると期待されている。関係者は太古の歴史をひもとく発見に、胸を躍らせる。

 出土した籠は、縦33センチ、横20センチで底は長方形。タケやササ類の植物を切り裂いて編み込まれたとみられており、大きさがほぼそろった直径3.5センチのオニグルミ数百個が詰まった状態で見つかった。クルミは縄文人が日常的に食べていた食料の一つ。国内の遺跡でもクルミの入った籠の出土例はあるが、今回のように大量に詰まった状態で見つかるのは初めてだ。

 市教委によると、籠は直径1.5メートル、深さ約1メートルほどある土坑の深さ60センチの地点で見つかった。この土坑は水が湧き出る「低地性土坑」とみられ、現代まで状態が保たれた理由について市教委は「水に浸っていたため真空状態が保たれたからではないか」と分析する。縄文時代後期~晩期(約3500~2500年前)のものとされる同遺跡の土坑は、当時この地域に暮らした人々が木の実の貯蔵やあく抜き、殺虫、木材の水付けなどに利用していたと考えられるという。

 同遺跡は、2020年4月に同所で開設される県立特別支援学校の建設に伴い、市教委が17(平成29)年10月に発掘調査を開始。発見された低地性土坑は31基あり、このうち3基から計12点の籠やざるなどとみられる編み物が出土した。保存状態はいずれも良好で、複数の編み方や形も確認されているため、当時の編み物技術に関する研究が進む可能性もあるという。

 縄文時代の植物資源などを研究する山田昌久首都大学東京教授(65)は「発見された籠は縄文時代前半と比べ小さい。物を運搬、保管する方法に変化があったのかもしれない」と指摘。調査を担当した同市教委文化財係の川田強係長(47)は「こんなに完璧な状態で見つかるなんて」とした上で「縄文人がうっかり忘れ物をしたのかもしれない」と思いをはせた。

 出土品は12月16日午前10時~午後3時、同市原町区の文化財整理室で公開する。