変革の温泉街...新スタイルの宿続々 福島県で低価格や相部屋など

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プレオープン中の「YUMORI ONSEN HOSTEL」。既存の温泉旅館とは違ったスタイルで若者やインバウンドの取り込みを狙う=福島市土湯温泉町

 県内の温泉街で「1泊2食」が定番だった温泉旅館のイメージを覆し、低価格や相部屋などを売りにした新たな宿泊施設が生まれている。狙いは若い世代や急増するインバウンド(訪日外国人旅行者)。2020年東京五輪・パラリンピックなどを控え、全国各地で誘客合戦が激しさを増す中、老舗温泉街に新風が吹き始めている。

 福島市西部に位置する土湯温泉。今月26日にグランドオープンする宿泊施設「YUMORI ONSEN HOSTEL」ではプレオープン中の宿泊客を迎えながら、慌ただしく本格営業に向けた準備が進む。

 基本は素泊まり。カフェのような雰囲気の共有ラウンジを備え、宿泊客はラウンジ併設の共有キッチンで調理が可能。施設外の飲食店でも自由に食事を楽しめる。客室は相部屋も選べ、価格は通常の旅館より安く抑えた。団体客の連泊などもターゲットだ。

 同温泉の旅館「山水荘」が、東日本大震災で廃業した旅館を改装して運営する。渡辺萌マネジャーは「温泉旅館と違い、食事のために外に出る宿泊者も増える。温泉街全体の活性化につながる施設を目指したい」と話す。都内で働いていた渡辺さんは今年4月に古里に戻り、実家の旅館とは異なる新たな宿の在り方を模索する。「都内ではインバウンド需要などを背景に、(外国人が好む)ゲストハウス風の宿泊施設も増えている。(この施設が)福島を訪れた外国の方が宿泊、交流できる場になれば」と期待を寄せる。

 想定外の利用客

 会津若松市の東山温泉では、9月にオープンした温泉宿泊施設「月のあかり」が大きな反響を呼んでいる。

 歴史ある温泉街にありながら「YUMORI―」同様に素泊まりが基本。食事は近隣の飲食店を紹介したり、仕出し店と連携して提供している。ラウンジに食事の持ち込みもでき、会津地方で冠婚葬祭に出席した人など、当初想定した客層以外の利用も多く、利用者数も好調だ。

 同施設の運営主体となる「庄助の宿 瀧の湯」の斎藤純一会長は「和風旅館の概念が変わるような施設だが、お客さまのニーズに対応しながら今後も新しいスタイルを提案していきたい」と意欲を示す。

 人手不足に対応

 県内の温泉街は原発事故による風評被害の影響もあり、インバウンドの受け入れなどでは他地域に比べ後手を踏んできた。

 観光などが専門の山形大大学院の高沢由美助教は「温泉地では(旅館従業員の)人手不足などもあり、利益を出しやすい素泊まりプランを用意する施設も増えている。(食事を取れる飲食店などがある)ある程度の規模の温泉街では今後、新しいスタイルの宿泊施設が増えていくのではないか」と指摘する。