「石綿粉じん」被害で国提訴 東北で初、福島県出身の遺族2人

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 父親が本県の工場で労働中に石綿の粉じんを吸い込み、病気になって死亡したのは国が規制措置を怠ったためとして、本県出身の遺族2人が国に計2600万円の損害賠償を求めて福島地裁に提訴したことが30日、分かった。提訴は9月下旬。弁護人によると、石綿被害を巡る国家賠償請求では東北地方で一例目の提訴とみられる。第1回口頭弁論は25日午前10時5分から。

 訴状によると、父親は1964(昭和39)年9月~76年3月、本県の工場で石綿製品の製造に従事。石綿粉じんを吸って病気を発症し、死亡した。国は排気装置の設置を義務付けるべきだったのに規制権限を行使しなかった、としている。

 石綿の健康被害を巡っては、大阪府南部・泉南地域の石綿工場の元労働者や遺族が国に損害賠償を求めた集団訴訟で、最高裁が2014年10月、工場への排気装置の設置などを義務付けなかった国の責任を認定した。国は最高裁判決を受け、58年5月~71年4月に石綿工場で働き、中皮腫などの石綿関連疾患に罹患(りかん)した労働者や遺族に訴訟での和解を通じて賠償金を支払っている。賠償額は症状の重さに応じて1300万~550万円。

 また、国は全国的に提訴が進まない状況を受けて昨年10月、早期の被害救済を図るため、石綿を扱う工場で働いて健康被害を受けたと特定できた全国の約2300人に、国家賠償訴訟を促す通知を発送している。

 弁護人によると、遺族2人は国からの通知を受けていないが、国が和解に応じている労働期間と父親の労働期間に重なる部分があることなどから「条件がそろえば国と和解に至る見込みがある」としている。