「憩いの場」に別れ 南相馬・仮設店舗、エンガワ商店5日閉店

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5日に閉店する東町エンガワ商店

 福島県南相馬市小高区にある公設民営の仮設店舗「東町エンガワ商店」が5日、閉店する。3年2カ月間の営業を経て設置者の市は、帰還した住民の利便性確保に一定の役割を果たしたと判断。ただ、地域住民たちと店を通して交流してきたマネジャーの常世田(とこよだ)隆さん(59)には「役割を果たしたと判断ができるのは利用者なのではないか」との葛藤も残る。

 南相馬市小高区は2016(平成28)年7月に避難指示が解除され、今年11月末現在で3060人が居住。震災前と比較すると約2割超だ。エンガワ商店は15年9月に開店。避難指示解除を前に準備宿泊が行われていた時期で、食料品や日用品など生活に欠かせない商品が購入できる場所として住民たちが利用した。

 千葉県銚子市出身の常世田さんは約30年働いた外資系企業での経験を生かせないかと、応募でエンガワ商店のマネジャーに就いた。イートインコーナーを設置したり、商品の品ぞろえを工夫。店舗はJR小高駅に近いため、交通手段が限られる高齢者が多く訪れたほか、帰還した住民だけでなく電車を待つ小高産業技術高生が立ち寄ったりと、憩いの場にもなっていた。

 準備宿泊の住民や帰還直後の住民にとって、必要な商品がなければ取り寄せも行う同店は重宝されていたと、常世田さんは感じている。エンガワ商店が閉店し、6日には区内に公設民営の商業施設「小高ストア」が開店するが、一部では「なぜエンガワ商店をなくすのだろう」という声もある。

 「個々人の復興のステージに合わせて、必要とされる商品は変わっていく」と常世田さん。「エンガワ商店では足りずに、原町(区)の大きな店で用を済ます人が増えたのは当然のこと」と、エンガワ商店だけでは限界があることも理解している。だが、利用者にとってエンガワ商店は不要なのか。駅近くの店がなくなることを不安に感じている高齢利用者にも接しており、今後の心配も胸の内にある。

 店舗閉店が決まってから地元だけでなく、これまでに利用してきた人たちが県内外から別れを惜しみ訪れてくれたという。商品だけでない価値がエンガワ商店には存在していた。

 常世田さんは閉店後、独立して引き続き県内に住み、観光事業振興や、中小企業の企画や広報などに携わる考え。「県内にはまだ気付かれていない面白いモノがたくさんある」。地域住民のためになる何かを探すつもりだ。