人手不足解消は「不透明」 入管法改正案、福島県内に温度差

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 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の参院審議は8日未明までもつれ込んだ。高水準の求人倍率が続く福島県内企業からは労働力確保に期待の声が上がる一方、専門家からは首都圏との賃金格差などから地方の人手不足解消にはつながらないとの懸念も聞かれる。県内の労働環境が一変する可能性もある法案だけに県民の反応にも温度差が生まれている。

 「技能実修生は欠かせない存在。長期間働けるようになれば、お互いにとってメリットになる」。スーパーを展開するリオン・ドールコーポレーション(会津若松市)の人事担当者は、法改正に期待を寄せる。同社は2016(平成28)~18年にベトナムの技能実習生を60人採用。いずれも20代前後で仕事の覚えが早く、周囲に良い刺激となっているという。

 福島労働局が把握している県内の外国人労働者数は、高止まりが続く本県の求人倍率に合わせるように、14年以降は年間千人ペースで労働者が増えている。

 本県の今年10月現在の有効求人倍率は1.50倍で、高い順から警備業などの保安職が8.45倍、建設業が3.76倍、介護職が3.08倍と続く。

 同労働局は「体力的に厳しいイメージの職業で人手不足が顕著」と分析し、法改正で「県内で働く外国人は、一層増える可能性がある」としている。

 一方、外国人労働者の支援などに携わる団体(福島市)の代表者は、労働力不足の解消だけが先行して制度設計をおろそかにすれば「(外国人の)失踪などに結び付き(県内に)悪影響が出る可能性もある」と指摘。法務省によると、賃金未払いなどにより、昨年1年間で国内の技能実習生は7089人失踪しているという。

 東日本国際大の経済経営学部に通う台湾人留学生(22)は、法改正については関心が薄く「内容はよく分からない」が「日本の雰囲気や文化が好き」で、日本への永住を夢見ているという。外国人労働者が働きやすい環境づくりに向け、「政府は日本にいる国内外の人を平等に扱ってほしい」。

 福島大経済経営学類長の佐野孝治教授(55)=開発経済学、アジア経済=は「地方では特に人手不足が深刻で、現在の技能実習制度に比べれば、正面から外国人労働者を受け入れるという新制度に基本的に賛成」とした上で「日本人労働者との競合や受け入れ態勢、技能実習生の失踪など多くの課題が議論されず、先送りされた印象」とする。

 また「外国人労働者が都市部に集中し、地方の人手不足の解消につながらないことが懸念される」と指摘。「地方へ誘導するインセンティブの設計が必要だ。人権侵害を防ぐための監督体制の強化、多文化共生を基本とする国・地方自治体・民間団体による支援体制が不可欠だ」と強調した。