日本天文遺産に「日新館天文台跡」推薦 国内現存最古の天文台跡

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会津若松市に残る日新館天文台跡

 国内で現存する最古の天文台跡「日新館天文台跡」(会津若松市)が、日本天文学会が本年度創設した日本天文遺産の候補に正式に推薦された。認定されれば、初めての事例となる。来年1月に開かれる日本天文学会代議員総会で認定対象が決定する。

 日本天文学会は、日本天文遺産の推薦状況を明らかにしていないが、県内の推薦は日新館天文台跡の1件だけという。

 推薦した国立天文台副台長の渡部潤一さん(57)=同市出身=は「江戸時代の天文台が残っているのはここだけ。当時の文化レベルの高さを示す非常に貴重な史跡」と意義を強調。渡部さんによると、弘前、水戸、薩摩などの雄藩でも天文台が築かれたが、「多くても10カ所程度」といい、日新館天文台跡を除き、どれも遺構は残されていないという。

 日新館天文台は会津藩が1803(享和3)年、藩校日新館の完成とほぼ同時に建設した。石を組み上げた高さ6.5メートルの天体観測場で、現在は江戸時代の半分程度の規模が残されている。

 同藩では、初代藩主の保科正之が暦学者渋川春海に暦作りを命じたことがきっかけで天文学が盛んなり、日新館では天文学を取り入れた授業も行われた。渡部さんは「天文台跡は、会津藩が武術だけでなく、勉学も重んじたことの証拠でもある」と語る。

 日新館天文台跡を巡っては、ユネスコ世界天文遺産への登録を目指す動きもある。元会津天文同好会長で、日新館天文台跡保護推進プロジェクト代表の薄謙一さん(51)は「認定により、天文台跡の保護活動にも弾みが付く。日本だけでなく、世界から注目される場所になってほしい」と話した。