物理を駆使して屋内練習 弓道全国切符、川俣高女子が初出場

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全国大会での活躍へ意気込む部員=川俣高

 福島県の川俣高弓道部は24日、岡山市で開幕する第37回全国高校弓道選抜大会団体女子の部に初出場する。弓道場が台風の被害に遭い、規定の距離で練習ができない環境で決めた全国の舞台。部員は「練習環境は気にせずに心を込めて臨みたい」と声をそろえる。

 「よし」。練習場の柔剣道場で顧問の高島輝之教諭(41)の声が響く。2年生5人の部員は武道用の畳に立て掛けられた23メートル先の的に次々と矢を的中させていく。

 屋内での弓道の練習は珍しいという高島教諭。「台風で弓道場が飛ばされちゃったんですよ」と笑いながら付け加える。校舎一角の仮設弓道場で活動していたが、全国各地で被害をもたらした今年9月の台風21号で屋根が飛ぶなどし、使えなくなったという。

 練習場を探している中、たどり着いたのがほかの部活動が使用していない柔剣道場。弓道は、28メートル先の直径36センチの的に的中した矢の本数を競う競技で「(距離が短く練習環境として)少し不安だった」と黒田永部長(2年)。規定の距離を確保できない練習場に戸惑う部員に、同校で物理を担当する高島教諭が物理の計算で導いた策を授けた。

 「握りを約1センチ下げれば、(28メートルと)的の見え方も狙い方も変わらない」(高島教諭)。高島教諭によると、23メートルの環境で28メートルと同様に弓を引くと、矢は的の上部に外れる。物理的な計算で出した補正値で、部員は的を通常より13センチ上に設置し、握りを1センチ下げて練習を始めた。

 10月末の県大会。3人が各4射を3回行う大会では1回目に12射全て的中させるなど他校を圧倒、全国の切符を勝ち取った。特殊な練習環境だが「気にならなくなった」となじんだ様子の部員たち。

 高島教諭は「生徒を誇らしく思う」と目を細め、黒田部長は「先生の計算を信じて一射一射大切に優勝を目指したい」と力を込めた。