甲状腺がん「地域差乏しい」 1巡目検査有病率の分布、福島医大論文

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 原発事故後、県内全ての子どもを対象とした甲状腺検査を巡り、福島医大は27日、1巡目検査で見つかった甲状腺がんの有病率を地域別に分析した結果、有病率の分布に地域差は乏しいとする論文を示した。

 同日、福島市で開かれた原発事故の健康影響を調べる県の「県民健康調査」検討委員会で説明した。1巡目検査は2011~13年に行われ、がんやがんの疑いは計116人(手術で良性と確認された1人を含む)に上る。検査は現在4巡目が行われており、論文では「今後は本格調査による結果を踏まえ、検討することが望まれる」としている。

 福島医大は、対象者を複数のグループに分け、特殊な計算方式を用いて有病率を比較。国内外の先行研究を参考に東京電力福島第1原発からの距離や推定外部被ばく量、人口密度などの地理的要因を考慮した。

 この結果、最も有病率の高い地域は県中心部付近の8自治体を合わせた範囲だったが、統計的に有意な関連性は認められず、福島医大は「先行検査(1巡目検査)による県内の甲状腺がん有病率に地域差は乏しく、その分布が放射線被ばく線量を含む地理的要因を反映しているとは考えにくい」と結論付けた。

 3巡目検査...がん13人に

 福島医大は県民健康調査検討委員会で、甲状腺検査の9月末時点の結果を公表した。2016(平成28)年度から始まった3巡目の検査では、前回報告(6月末時点)から新たに2人ががんと確定、1人ががんの疑いと診断された。3巡目検査のがん確定は13人、がん疑いは5人となった。

 県と福島医大は、11~13年度に1巡目、14~15年度に2巡目、16~17年度に3巡目、本年度から4巡目の検査を実施。4巡目検査では、2次検査対象者151人のうち39人が受診、このうち7人が検査を終了したが、結果はまとまっていない。

 また福島医大は、昨年度から実施した1992年度に生まれた25歳時の県民を対象とした甲状腺検査の結果も初めて発表した。2次検査対象者は88人で67人が受診し、58人の検査が終了。2人ががんまたはがんの疑いと診断された。1~4巡目と25歳時の検査を合わせると、がん確定は166人(手術で良性と確認された1人を除く)、がん疑いは40人。

 検討委では、25歳時の検査の受診者が2005人で対象者(2万2653人)の8.9%にとどまることについて議論があった。25歳時の検査は30歳時の検査と併せ、長期的に甲状腺の状況を把握する狙いがある。星北斗座長は検討委終了後の記者会見で「始まったばかりでまだまだ認知されていない。受診を希望する人がアクセスできるよう取り組む」と語った。

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