古里再生へ住民『鼓舞』 太鼓の音色再び...5団体が初演奏会へ

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演奏会に向け練習に励む榎内会長(中央)ら

 伝統の太鼓で絆をつなぐ―。富岡町の小浜風童(こばまふうどう)太鼓の呼び掛けで来年2月、双葉郡などの太鼓演奏5団体が同町に集い、初の演奏会を開く。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から7年9カ月が過ぎたが、今も7市町村が帰還困難区域を抱え、コミュニティー再生への道のりは半ば。地域に根付いていた太鼓の音色を再び奏で、古里を取り戻すために住民を鼓舞する。

 「太鼓は人に力を与える」。小浜風童太鼓の榎内(えのきうち)正和会長(60)は避難生活を送る住民が目を輝かせながら太鼓のリズムを刻む姿を見て、そう確信した。今年4月から入居者の引きこもり防止を目的にいわき市内の復興公営住宅5カ所を回り、太鼓教室を開いてきた。カレンダーに印を付けて教室を心待ちにしている高齢者の姿も目にし、より大勢で太鼓の魅力を共有したいと考えた。

 榎内会長の思いに標葉(しねは)せんだん太鼓保存会(双葉町)、ならは天神太鼓うしお会(楢葉町)、広野昇龍太鼓(広野町)、山木屋太鼓(川俣町)が賛同した。避難先で太鼓教室に参加している富岡、大熊、双葉、浪江4町の住民約40人も舞台に上がる。「力を結集して古里を盛り上げよう」。震災、原発事故で被災し苦難を共にする出演者たちは演奏会の成功を誓い合う。

 地元開催となる小浜風童太鼓は、今年新たに作った曲「夜の森桜」を披露する。富岡町のシンボルだが、帰還困難区域のバリケードで分断された同町夜の森地区の桜並木が題材。つぼみが膨み、満開を迎え、桜吹雪となる移り変わりを太鼓の強弱とリズムで表現し往時の姿を思い浮かべてもらう。

 同町は昨年4月の帰還困難区域を除く避難指示の解除から1年8カ月が過ぎたが、町内に戻った町民は人口約1万3000人の1割に満たない約830人。医療体制や買い物環境への根強い不安から、避難指示が解除された地域の中でも特に住民の帰還が進んでいない。

 榎内会長もいわき市で避難生活を送っているが「住民一人一人が古里を思う心を持ち続けることが復興への歩みを止めない原動力となる」と力を込め、こう願った。「太鼓の音色は夏祭りや地域の行事で町民と共にあった。演奏会が古里再生へ心一つとなるきっかけになれば」

 演奏会は来年2月24日午後0時50分から、富岡町文化交流センター「学びの森」で開かれる。入場無料で、整理券が必要となる。

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