「田んぼダム」貯水量自動調節へ 日大工学部、自然生かし防災

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 大雨時などに上流の水田に一時的に水をため、下流の洪水被害を軽減する「田んぼダム」の普及に向け、日大工学部(郡山市)の研究チームが水田に設置する新たな水位調整装置開発に着手した。降水に反応して水田からの排水量や貯水量を自動的に調節する仕組みで、2019年秋の完成を目指す。使い勝手の良い装置を開発し、協力農家を増やすことで効果的な実証を進め、自然の機能を生かした自主防災の取り組みを広げる。

 「田んぼダム」は、水田が持つ貯水機能を活用した自主防災の取り組みで、農家の協力があれば低コストで始められるなどの利点がある。同学部の朝岡良浩准教授(42)の研究チームは郡山、須賀川両市と連携して田んぼダムの効果を実証。郡山市大槻地区の水田22筆、須賀川市西川地区の48筆に水位調整装置を設置し、降雨時の流量などを観測している。

 既存の装置が、排水器具に小さい穴の開いた調整板などをはめ込んで流量を調節する仕組みだったのに対し、新装置は、降雨時に自動で水位調整できる構造を検討している。今後、性能評価や算定方法などを策定した後に水田での実証に入り、自動で水位を測定したデータをスマートフォンに飛ばす装置などを使って効果を検証する方針。研究チームの竹田稔真さん(26)=同大大学院工学研究科土木工学専攻1年=は「特別な操作が要らず普段通りに営農でき、農家にもメリットがあるような装置を目指す」としている。

 田んぼダムへの理解の広がりとともに協力農家は徐々に増えているが、同チームが6~7月に須賀川市の協力農家を対象に実施したアンケートでは、営農上の理由で装置が正しく使われていない実態が確認された。年間を通して設置しなければ効果が分からない水位調整装置の調整板を、早く水抜きしたい場合に外してしまうなどのケースが多い。西川地区の地元農家でつくる田んぼダム協力会の円谷正美会長(65)は「水田を使って洪水被害を軽減できる意義は大きい。ただ、仕組みを理解しなければ使い方を誤ったり、面倒くさいこともある」と話す。

 同地区では来年度、協力農家が倍増する見通し。地形や河川の規模で異なるが一般的に田んぼダムの効果実証には河川流域の6~7割の水田が必要とされる。このため同学部は、協力農家を増やすことが効果実証の鍵になるとみている。