6町村...帰還の要「復興拠点」 震災・原発事故から7年9カ月

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避難指示解除を目指すJR大野駅周辺

 帰還困難区域に設けられる特定復興再生拠点区域(復興拠点)を巡り、整備計画の認定を受けた6町村(双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村)で地域再生の歩みが進む。6町村は、2022年春~23年春に拠点全域の避難指示解除を計画。20年3月末までの全線開通を目指すJR常磐線の沿線では、双葉町の双葉駅、大熊町の大野駅、富岡町の夜ノ森駅周辺などの一部地域で先行解除が見込まれる。震災から7年9カ月が経過する中、住民の帰還には避難指示解除後の地域振興策も欠かせない。

 立地活用、雇用創る

 【大熊】大熊町の復興拠点は、町全域の1割程度となる約860ヘクタール。このうち2020年3月までの避難指示解除を目指すJR大野駅周辺では、テナントビルなど産業交流施設や町民、町内で勤務する人を対象にした賃貸住宅などを整備する方針。
 廃炉作業が続く東京電力福島第1原発に近い駅周辺の立地を生かして、企業のビルへの入居を進め、雇用の創出や駅の利用促進につなげる。下野上地区は「居住・営農」「産業・交流」の2区域に編成、農業振興と産業集積を進める。
 今春、常磐道の大熊インターチェンジの利用が始まり、町が復興拠点と位置付ける大川原地区では役場新庁舎で業務が始まる。同地区と中屋敷地区の避難指示解除は、5月にも行われる見通しだ。
 渡辺利綱町長は「大野駅周辺整備の青写真を早期に描き、町民に提示していきたい」と話している。

 除染進め規制緩和

 【双葉】全町避難が続き復旧・復興が手付かずだった双葉町では、JR双葉駅や駅前の市街地を中心に除染と家屋の解体が進み始めた。環境省は4月にも、復興拠点の対象となる約555ヘクタール全域で整備に着手する。
 昨年8月に、双葉駅の駅舎と、線路をまたぐ東西自由通路を2階部分で一体化した「橋上駅」の新設工事が始まった。2020年3月末までの常磐線の全線開通に合わせ、駅周辺の一部と避難指示解除準備区域の避難指示を先行解除する方針。さらに町は、ごく一部の地域に限定される避難指示の先行解除に合わせ、同拠点内のほかの区域にも自由に立ち入ることができるよう規制を緩和し、帰町に向けた環境整備の加速化につなげたい考えだ。
 整備計画では同駅の西側に生活拠点、東側に交流拠点を整備、周辺に再生可能エネルギーの発電拠点や耕作再開区域を設ける。

 徹底し丁寧に除染

 【富岡】富岡町では昨年7月、復興拠点の整備へ環境省による本格除染が始まった。2021年秋までに復興拠点の全域約390ヘクタールの大半の除染完了を目指している。
 町が目標とする23年春までの避難指示解除の約1年半前に除染を終えることで、住民が速やかに帰還できる環境を整える。除染は復興拠点のうちJR常磐線夜ノ森駅の周辺から始まり、住宅が密集する国道6号西側を中心に実施する。
 復興拠点の面積約390ヘクタールは町の帰還困難区域の約46%に当たり、震災、原発事故前は人口約1万6000人のうち約4000人が住んでいた。政府は自宅の修繕などを進める住民の利便性を高める狙いで避難指示解除前にバリケードを撤去して立ち入り規制を見直す方針も示している。町は「徹底して丁寧に除染を行うよう環境省に要請しており、帰還を目指す住民の安心につなげたい」としている。

 3地区の整備加速

 【浪江】浪江町は復興拠点計画で、2018年から23年までに帰還困難区域の室原、末森(大堀)、津島の3地区で約661ヘクタールを整備する。
 町は帰還困難区域の避難指示解除時期を23年3月末までとし、避難指示解除から5年後の人口目標を約1500人としている。
 室原は家老地区を除いた区域(約349ヘクタール)、大堀は末森地区(約159ヘクタール)、津島は津島支所とつしま活性化センターを中心とする区域(約153ヘクタール)が整備エリア。各地区に「居住促進」「交流」「農業再開」の各ゾーンを設ける。室原には常磐道浪江インターチェンジがあり、交通の要となることから「物流・産業」と「防災」のゾーンを設ける。大堀には大堀相馬焼の里の窯元や物産館「陶芸の杜おおぼり」を整備する。
 環境省は昨年5月に除染を始め、一部道路の約4ヘクタールが完了。3地区の解体・除染工事を行っている。

 集会所、牧草地造る

 【葛尾】葛尾村は復興拠点計画で、帰還困難区域に指定されている野行地区の約95ヘクタールで除染や建物解体を進め、帰還した住民が暮らしやすい環境を整える。
 復興拠点では二つの課題を設ける。中心地区再生ゾーンでは、集会所や交流拠点を整備したり、神社を移すなどして地域コミュニティーの再生を目指す。農業再生ゾーンでは、村の基幹産業である畜産業再興に向けて牧草地を造成する。本年度、道路など0.5ヘクタールの除染、建物10棟の解体を予定している。
 野行地区では東日本大震災前、約120人が生活していた。村は2022年春ごろまでの避難指示解除を目指し、解除後は約80人の居住を見込む。
 村の復興拠点計画が昨年5月に国に認められた。篠木弘村長は「住民の思いを受け止めて策定した計画なので、形にしていきたい」と話している。

 居住促進、農の再生

 【飯舘】飯舘村は、村唯一の帰還困難区域の長泥地区の約1割に当たる186ヘクタールを復興拠点に設定した。建物の解体や除染が始まり、2021年に一部の避難指示解除、23年春ごろに拠点全区域の解除を目指している。
 計画では、拠点の中に居住促進(約2ヘクタール)と営農再開を目指す農の再生(約110ヘクタール)の両ゾーンを設けた。このほか山林や地区の文化遺産、墓地周辺も除染の対象になった。
 居住促進ゾーンでは、国道399号と県道原町二本松線の交差点付近に村営住宅8戸、短期滞在・交流施設を整備する。農の再生ゾーンでは除染で出た土壌を使って農地を造成し、園芸資源作物の実証栽培を目指す事業も行われる。
 旧居住制限区域だった深谷地区の復興拠点では「いいたて村の道の駅までい館」と村営住宅が完成、道の駅の北側で公園の整備が進められている。

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