「やっとスタートライン」 佐久間牧場7年10カ月ぶり原乳出荷

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「やっとスタートラインに立てる」。集乳の様子を見守る佐久間さん(左から2人目)=11日午前、葛尾村

 葛尾村の佐久間牧場は11日、東京電力福島第1原発事故の影響で休止を余儀なくされた原乳の出荷を7年10カ月ぶりに再開した。旧避難指示区域での原乳出荷再開は、楢葉町と川俣町山木屋地区に続き、3例目。同牧場の佐久間哲次さん(42)は「酪農で葛尾村を盛り上げていきたい」と士気を高めた。

 同日午前10時ごろ、集乳車が牛舎に到着。運転手の男性は東日本大震災発生当日の朝にも同牧場を訪れていて、佐久間さんとは旧知の仲。2人はがっちりと握手をした後、原乳が車両に送られる様子を見守った。佐久間さんは「一つ肩の荷が下りた。やっとスタートラインに立てる」と、ほっとした表情を浮かべた。

 震災前は約130頭の乳牛がいたが、原発事故による全村避難の影響で全て手放した。避難指示が解除されてからは、飼料用トウモロコシの試験栽培や牛舎整備に取り組み、再開に備えた。昨年9月に北海道から8頭の乳牛を迎え入れ、原乳の放射性物質検査を2カ月間で計16回実施し、結果は全て不検出だった。

 佐久間さんは「(震災や原発事故の影響で)死んでしまった牛を忘れることはない。今いる牛たちを大切に育てて、消費者に安全な牛乳を届けていきたい」と話した。

 原乳約735リットルは東北協同乳業に出荷された。震災前は1日当たり約2700リットルの出荷量があったという。同牧場は乳牛の頭数を徐々に増やしながら、震災前の生産水準まで回復させたい考え。