水素利活用、官民連携で加速へ 19年度・いわき市新エネ都市発信

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 次世代エネルギーの先進都市を目指すいわき市で2019年度、水素を利活用した循環型社会の構築に向けた取り組みが本格化する。

 民間主導で同市に整備が進む福島県内初の商用定置式水素ステーションが3月にも完成するのを踏まえ、市内の複数企業が水素を動力源とするトヨタの燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」計26台の導入を予定。市は水素バス(FCバス)の導入支援を視野に入れており、官民が連携して水素利活用への動きを加速させる。

 FCVは、いわき商工会議所の働き掛けに賛同した企業が国や県などの補助金を活用して購入する。3月の水素ステーション完成時には、22台が並ぶ見通しだ。

 20台を超えるFCVが一度に導入されるのは県内でも例がなく、運用に向けた需要をつくり出すとともに、水素利活用の先進地としての都市イメージを広く発信する。

 市や同商議所は、市内で整備が進む風力、バイオマスなどによる発電や蓄電池産業集積を目指す「いわきバッテリーバレー構想」、浪江町の水素製造拠点とも連携して、各分野の特性を生かして「つくる」「ためる」「使う」のエネルギーのサイクルをつくり、「福島新エネ社会構想」実現への仕組みを浜通り全域で完結できる仕組みを構築したいとしている。

 水素の利活用を巡っては、同商議所と市内の関連企業が2017(平成29)年7月に研究会を発足。水素戦略を進める先進地の川崎市やFCVを製造するトヨタ自動車工場を視察するなど、将来的な家庭や事業部門での利用を視野に入れた運営方法や土台づくりについて調査してきた。こうした動きを背景に市も水素社会の実現に向けた戦略ビジョンの策定に着手。産官連携した核となる体制づくりも進んでいる。

 FCVの導入や水素循環利用のインフラ整備には多額な費用を要し、技術的な課題もあることから、現状では市場は限定的。水素の利活用に取り組む企業も大企業が中心で、一般社会での実用化には時間がかかるとされている。

 しかし、国際的な低炭素化への移行が進む中、注目度の高い分野であることから、水素ステーションを拠点とする利活用の基盤を整備することで、市などは水素利活用の実証研究に取り組む企業や研究機関の誘致を進めたい考えだ。