甲状腺がん診断...15年間で『韓国17倍』 福島医大・国際シンポ

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 建国大(韓国)の耳鼻咽喉・頭頸部(とうけいぶ)外科のリー・ヨンシク教授は15日、福島医大が福島市で開いた国際シンポジウムで講演し、韓国で広範囲に甲状腺超音波検査が行われるようになった結果、「甲状腺がん」と診断された人が15年間で約17倍に急増したことを報告した。リー教授は、甲状腺がんと診断される人の急増は「超音波検査の乱用が引き起こした過剰診断の見本だ」と見解を示し「治療の必要がない微小ながんまで見つけて手術することで、恐怖をあおる結果を招いた」と述べた。

 東京電力福島第1原発事故を受けて本県で行われている甲状腺検査について「福島でも超音波検査ではなく定期的な触診で十分だ」と提言した。

 講演によると、1999年以降、韓国で一般向けの甲状腺超音波検査が広範囲で行われるようになった。この結果、98年には約2500件だった甲状腺がんが2013年には約4万3000件と約17倍に急増したデータを提示。広範囲な検査を行っていない英国と比較し甲状腺がんと診断される人は増えたものの、10万人当たりの死亡率の上昇は見られなかったとした。

 リー教授は韓国の経験を踏まえ「原発事故を経験した福島の人々が甲状腺がんを不安に思うのは当然だが、超音波検査で見つかる微小ながんのリスクが小さい以上、検査が生み出すがんへの漠然とした恐怖の方がより大きな問題になり得る」と話した。

 リー教授は甲状腺がんは触診で分かる大きさになってからでも生存率が97%超だったとのデータも示し「福島でも甲状腺の超音波検査はやめ、定期的な触診が甲状腺がん予防に十分役に立つ」と述べた。

 シンポジウムは福島医大放射線医学県民健康管理センターの主催。福島医大の後藤あや教授、緑川早苗、村上道夫の両准教授、ノルウェー生命科学大のデボラ・オートン教授、東大大学院の関谷直也准教授、東京慈恵会医大の越智小枝講師、産業技術総合研究所の保高徹生研究員らが県民健康調査における地域住民との対話などについて発表した。