安らぎ届けるランプ がん治療契機に旅、仁平さん西郷に工房

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モザイクランプで癒やしを届けようと奮闘する仁平さん

 「ランプの放つ光は人の心を癒やす」―。西郷村で東北唯一のトルコモザイクランプ工房「SIFA(シーファ)」を運営する仁平富美子さん(44)は、アジアと欧州の文化が交わる魅惑のランプで、地域に新たな安らぎを届けようと奮闘する。

 光が仁平さんを導いた。30代のはじめ、白河市の保険会社に勤務し、仕事に没頭する毎日。日中は顧客宅を回り、夜は飲み会などに繰り出した。

 そんな時だった。下半身に今まで経験したことのない「冷え」を感じた。「体重も落ちていないし、更年期障害の一種だろう」と仕事で紛らわせたが、症状を知った顧客に「今病院を予約しなさい」と諭され、検査を受けた。

 2012年4月、手術の末に宣告されたのは「5年生存率30%」。卵管がんだった。「落ち込む気持ちはなかった」。冷静に結果を受け止め、すぐに行動に移した。子宮などを全摘出し、約半年の入院生活。病院では、病気に関するブログやエンディングノートを書く患者を目の当たりにし「病気にのみ込まれてはいけない」。夜がやって来ると、自作の陶器ランプで病室を照らし、ほかの患者と心を通わせることもあったという。

 退院後は治療を続けながら「絶景が見たい」と仕事を辞め、国内外へ旅に出た。カンボジアでは地雷撤去ツアーに参加。さらに現地の恵まれない子どもたちのスポンサーとなった。アラスカではオーロラ観測、トルコでモザイクランプと出合い、魅せられた。

 帰国してすぐ、東京都の教室などで勉強し、知人の勧めから白河市で工房を開き、18年12月、JR新白河駅近くの西郷村に移転した。

 工房名のシーファは、トルコ語で癒やしなどを意味する。「ランプは"心が喜ぶ"生き方を教えてくれたのかも」と仁平さん。「好きな旅行で好きなものに触れ、工房の海外展開もやりたい」と大きく笑い、人生の旅の途中で出合った幻想的なランプを手に、未来を照らす。

 工房では商品販売のほか、オリジナルのモザイクランプ作りを体験できる。トルコから輸入する専用のガラスやビーズ計60種類から自分で色を選び、柄などを決めて2時間程度で完成する。初心者でも作れるという。工房は不定休で予約制。営業時間は午前10時~午後6時。

 問い合わせ同工房(電話050・5242・9372)へ。