福島県発・桜の絆、海外に広がる イラクで200本植樹

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
植樹式が行われたアルビルの場所

 桜を通じた交流の輪が海外に広がり始めた。福島県の桜を育て各地に植樹する活動に取り組む「ふくしまサクラモリプロジェクト」から送られた本県生まれの桜の苗木200本が26日(日本時間)、中東・イラクに根を下ろした。本県から世界に旅立ったこの桜には、今年亡くなった国際的な「旅人」の思いも込められていた。

 サクラモリプロジェクト プロジェクトは、綾瀬はるかさん主演で2013(平成25)年に放映されたNHK大河ドラマ「八重の桜」のプロデューサーを務めた内藤慎介さん(NHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサー)が中心となって取り組んでいる。

 富岡町夜の森地区の桜などをもとに、県内で育った桜の苗木を全国各地に植樹することで、桜を通じた本県と各地の絆を広げている。

 イラクへの植樹は、来日した同国の自動車販売大手「サルダールグループ」役員が、この活動に賛同したことから実現した。同社が受け入れ先となり、イラクの戦火で犠牲になった子どもたちの笑顔を桜を通じて取り戻し、その桜が福島とイラクをつなぐ懸け橋になれば―との思いから植樹が決まった。

 桜の苗木を日本から発送したのは今月9日。この日は同プロジェクトに協力し、自宅で本県の桜を育て続けていたという旅行ジャーナリストの兼高かおるさんの訃報が公表された日だった。

 内藤さんによると、兼高さんは本県の桜を各地に植樹するプロジェクトの趣旨に賛同し、亡くなった時も近くに本県の桜の盆栽が飾られていたという。内藤さんは「桜が旅立ったのと同じ日にプロジェクトに協力してくれた兼高さんの死が公表された。偶然かもしれないが、世界中を旅した兼高さんの思いも桜と一緒にイラクに旅立ったように思えた」と話している。

 イラクには、現地の子どもたち千人以上の顔写真を組み合わせて同プロジェクトが制作した城塞(じょうさい)と馬の絵も一緒に送られた。内藤さんによると、26日に同国のアルビルで行われた植樹式には同国の政府関係者も出席し、植樹が行われたという。

 同プロジェクトでは、桜を育てる新たな拠点を県内に整備する計画も進めており、内藤さんは「震災の風化も進み始めている。これからも全国、そして世界を桜の絆でつないでいきたい」と話している。