福島県「高齢者虐待」最多435件 家族や親族から...拘束、暴言

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 県内の高齢者に対する虐待のうち、家族や親族などの「養護者」から受けたとみられる虐待の2017(平成29)年度の通報・届け出件数は435件(前年度比46件増)で、06年度の統計開始以来、過去最多となったことが1日、分かった。暴言や体をベッドに縛り付けるなど、高齢者への虐待に関して県民が理解を深めている傾向があることから、県はこれまで潜在化していた虐待が顕在化したとみている。

 県が1日、福島市で開いた県高齢者虐待防止ネットワーク連携会議で公表した。県によると、養護者による虐待の種別は、身体的虐待が最多の174件。ベッドに柵を作って動けなくしたり、部屋の鍵を外から掛けることで出られなくするなどの事案だった。

 また「動くな」「早く食べろ」など暴言による心理的虐待は102件、介護などの放棄は60件、高齢者の金を勝手に使うなどの経済的虐待が57件で、複数の種別の虐待をしているケースもあった。通報・届け出があったケースから、県が実際に虐待と判断したのは260件だった。

 同会議に出席した県病院協会の佐久間啓副会長は、「県民の高齢者虐待への正しい認識が増えることで、今後も件数は増えるだろう」と指摘し、「さらなる啓発と地域全体のサポート体制の構築が必要だ」と訴えた。県は、高齢者虐待に関する知識などが書かれたパンフレットを作製して啓発活動を展開するほか、相談窓口を新年度に設置し、相談体制の強化を図る方針。

 介護者へのケア重要

 養護者による虐待を通報・届け出た人のうち、最も多かったのは介護支援専門員で120人に上った。介護福祉を専門とする郡山女子大家政学部講師の広野正子さん(53)は「家族が介護する場合、暴言や暴力が日常化しているケースがある。介護を専門とする第三者の目が不可欠だ」と強調する。

 虐待防止に向けて広野さんは、会社を退職した人などが地域の自治会を通して高齢者をサポートする組織づくりを提案。「気軽に地域に参加してもらい、高齢者の見守り役を担ってもらいたい」と述べた。

 一方、介護者へのストレスケアの重要性も指摘、「先が見えない介護に対する不安を、周囲に話すことが大事だ」と述べた。