「奥羽線」...人気じわり再燃 鉄道ファン途中下車の秘境駅など

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雪に包まれた板谷駅。乗降客は少なく、秘境駅としても人気だ

 鉄道ファンの中でJR奥羽線の人気が再燃している。1992(平成4)年の山形新幹線開業以降、旅客運送の主役の座を譲ったが、全国的にも珍しい連続するスイッチバック駅があった路線だ。鉄道ファンが山間の駅に降り、会員制交流サイト(SNS)に写真を投稿する姿も見られ、途中下車して楽しむ「スローな旅」の観光資源として再注目されている。

 奥羽線は、東北地方を南北に縦断する「奥羽山脈」を日本で初めて越えた鉄道としてファンに知られる。5月には、その山脈を越える難所だった福島―米沢駅間の開通120年の節目を迎える。

 特にファンの心を熱くするのが福島―米沢駅間にあり、県境をまたぐ「赤岩―板谷―峠―大沢」の4駅。かつては全国屈指の急勾配を越えるため設けられた全国でも珍しいスイッチバック駅だった。今も乗降者の少ない秘境駅として人気で、このうち本県側にある赤岩駅は列車が止まらない完全な通過駅となっている。

 奥羽線の歴史に詳しい山形大大学院有機材料システム研究科助教の粟野宏さん(64)は「4駅連続でスイッチバックが行われていた駅を確認できる路線は、全国でも珍しい。鉄道ファンが訪れ、写真をブログやネットに投稿するのをよく目にする」と話す。

 山形県側で県境に最も近い板谷駅では、旧駅舎をはじめ、かつて列車の潤滑油などを保管していた石造りの倉庫などを見て楽しむことができる。近くにはスイッチバックに使われたトンネルも残る。ファンが数多く訪れるのは春や夏。冬の時期は深い雪に閉ざされており、同駅は普段、乗降する人は近所の住民1、2人ほどだが、夜間はライトを照らしながら走行する奥羽線が幻想的な姿を見せる。

 4駅は「スイッチバック遺構」として09年、経済産業省により近代化産業遺産にも認定された。板谷駅の待合室にはその認定書も飾られている。あるJR社員は「スピードを求める時代で時間が貴重とされているが、時を止めて見ることができる貴重な路線だ」と話す。板谷駅にはJR福島駅から乗車して約25分程度で到着する。貴重な旅は、身近にあるのかもしれない。