福島大「松川資料室」管理運営体制強化 世界記憶遺産再申請へ

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運営体制が強化された松川資料室

 福島大は6日、戦後最大の冤罪(えんざい)事件とされる「松川事件」の裁判資料や元被告らの手紙など関係資料を収蔵する同大松川資料室について、管理運営体制の強化のため室長と研究員2人を配置したと発表した。松川事件関係資料のユネスコ「世界の記憶」(世界記憶遺産)申請を目指す動きがあることや、資料の劣化が進んで保存処理が急務となっていることが理由。今後、地域への公開の在り方や、学生教育への活用などを検討する方針。

 初代室長には、人間発達文化学類の初沢敏生教授(57)が就き、研究員には行政政策学類の功刀(くぬぎ)俊洋教授(64)と地域創造支援センターの木暮照正教授(45)が任命された。

 6日の定例記者会見に出席した初沢室長は「資料の劣化が著しく適切な保存処理が必要だ」と話した。元被告の逆転無罪を決定付ける証拠の一つとなった「諏訪メモ」など、一部の資料の保存処理には着手していることも明かした。

 松川資料室は、大学が松川事件の現場に近い福島市の現在地に移転した後の1988(昭和63)年に開設され、元被告らの手紙や裁判資料など約10万点を収蔵している。3月まで研究員を務める同大名誉教授の伊部正之さん(76)が長く収集、整理に当たってきた。

 大学は2017(平成29)年、世界の記憶登録を目指し申請を行ったが、登録はならなかった。今年にも再申請する方針だったが、ユネスコは現在、申請の受け付けを凍結しているという。初沢室長は「将来の申請のためにも体制づくりは不可欠だ」と語った。

 資料室の体制強化について、松川事件の記録や教訓を後世に伝える活動をしているNPO法人県松川運動記念会の吉田吉光事務局長(71)は「大変うれしい。資料室の大学の中での位置付けが変わったと感じる」と話した。

 松川事件は1949年に発生。普通列車が脱線、転覆し乗務員3人が死亡した。当時の国鉄労組などの組合員20人が逮捕、起訴されたが、最終的に全員の無罪が確定した。